ダイハツ新型軽商用BEV『e-ハイゼット・カーゴ』と『e-アトレー』はさすがの機能性 ただし乗り心地は改善の余地あり

公開 : 2026.03.18 11:45

荷室のサイズや最大積載量は変化なし

電力供給ユニットのESUはフロントシート下に、そしてeアクスルと呼ばれるモーターとインバーター、デファレンシャルを一体化したユニットをリアに搭載することで、駆動方式をRWDとしたe-アトレーは、リアサスペンションもガソリン車とは異なるトレーリングリンク式となる。

一方でBEV化に伴って、荷室のサイズや350kgの最大積載量に一切の変化がなかったことは、さすがは長年にわたって軽商用車の機能性を追求し続けてきた、ダイハツの作だけのことはある。

BEVになっても、荷室のサイズや350kgの最大積載量は変わっていない。
BEVになっても、荷室のサイズや350kgの最大積載量は変わっていない。    平井大介

前後シートはe-アトレーならばもう少しグレードアップしてもよいのではないかと感じたが、メーターパネルは7インチのカラーマルチインフォメーションディスプレイを用いることで、新しさやBEVらしさを十分に感じさせる。

電池温度のゲージが備わっていることも、搭載されるリチウムイオンバッテリーが空冷式であることを考えれば、長時間にわたる高速走行(最高速は100km/hに制限されている)や、急速充電の最適なタイミングを図るにはありがたい配慮といえそうだ。

試乗前は期待していたハンドリングや乗り心地

64psの最高出力、そして126Nmの最大トルクを発揮するエレクトリックモーターによる走りは、BEVらしく常に静かでスムーズな印象を崩さない。アクセルペダルを一気に強く踏み込んでもトルクの出方が穏やかなのは、荷室に積み込んだ荷物の荷崩れを防止するための策。

ブレーキもまた同様で、その回生制御は自然なフィーリングに終始していたのが印象的だった。参考までにダイハツは、このe-アトレー、そしてe-ハイゼット・カーゴではフロントにベンチレーテッドディスクを採用するなどブレーキ性能の強化にも万全の備えを見せている。ガソリン車と比較して車重が300kgほど重くなるだけに、それはドライバーにとっては大きな安心材料となるだろう。

e-アトレーに試乗中の筆者。残念ながらやや不満の残るものだった。
e-アトレーに試乗中の筆者。残念ながらやや不満の残るものだった。    平井大介

だが、低重心でリアサスペンションも一新したこともあり、試乗前には大いに期待していたハンドリングや乗り心地は、個人的にはやや不満の残るものだった。

常に細かいピッチングがドライバーに伝わり、かつ大きな重量物が高い位置で動いているかのようなフィーリングを生むサスペンションの設定は、e-アトレーが最初に触れたとおり乗商兼用として企画されたモデルと考えるのならば、大いに改善の余地がある。

いや、商用車としての長時間使用を想定しても、この乗り心地からは辛さを感じずにはいられない。BEVとしての高い基本性能と機能性を持ったモデルだけに、今後の改善に期待したいところだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    山崎元裕

    Motohiro Yamazaki

    1963年生まれ。青山学院大学卒。自動車雑誌編集部を経て、モータージャーナリストとして独立。「スーパーカー大王」の異名を持つ。フツーのモータージャーナリストとして試乗記事を多く自動車雑誌、自動車ウェブ媒体に寄稿する。特にスーパーカーに関する記事は得意。
  • 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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