トヨタ・プリウスに勝てなかった米国製ハイブリッド車 シボレー『ボルト』誕生と失敗を振り返る【UK編集部コラム】

公開 : 2026.03.24 11:25

振るわなかった販売

英国では、ヴォクスホール・アンペラの発売から3年間の販売台数は1350台にとどまり、シボレー・ボルトを含めても合計1475台と悲惨だった。高価格、顧客へのコンセプト説明の難しさ、そしてPHEVを受け入れる準備が整っていなかった市場環境が、販売不振を招いた。さらに、当時はまだ悪者扱いされていなかったディーゼル車が、はるかに安い価格で、しかも充電器を必要とせずにボルトと同等の燃費性能を実現できたという事実も不利に働いた。

一方、米国での販売は比較的好調だったが、過剰な宣伝、市場規模、そして米国最大の自動車メーカーによる製品であることを考慮すれば、それほど驚くべき数字ではない。初代ボルトは発売から4年間で米国国内で9万台弱しか売れず、トヨタにとって大した脅威にはならなかった。その間、米国は国内の頁岩(シェール)層から石油を採掘できるようになり、輸入エネルギーへの依存度を大幅に減らし、燃料価格を比較的低く抑えることができた。米国のドライバーはガソリン価格を気にせず、SUVに乗り続けることができるようになったのだ。

ヴォグゾール・アンペラ
ヴォグゾール・アンペラ

しかし、すべてが無駄に終わったわけではない。GMは技術力の面で評価を高め、バッテリー技術やEVハードウェアについて膨大な知見を得た。これらの成果により、2015年には航続距離の優れたEV、シボレー『ボルト(Bolt)』を投入することができた。かつては業界を変え、トヨタから市場シェアを奪う可能性も秘めたクルマと見なされていた初代ボルト(Volt)だが、おそらく自動車史における興味深い脚注にとどまることになるだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・ブレンナー

    Richard Bremner

    英国編集部
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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