米国ブランドのイタリア車、クライスラー版『ランチア・デルタ』が失敗した理由【UK編集部コラム】

公開 : 2026.04.08 17:05

1000台未満で販売中止に

確かに、当時のクライスラーが英国向けの新型車を必要としていたことは疑いようがない。しかし、イプシロンやデルタが纏う洗練されたイタリアンスタイルは、角張った顔立ちのクライスラー300Cや、タクシーとして使われるクライスラー・ボイジャーとは異質な組み合わせだった。

クライスラーUKは2011年の発売時、デルタの年間販売目標を2500台としたが、わずか3シーズン後には販売を打ち切り、総販売台数は900台強にとどまった。

クライスラー・デルタ
クライスラー・デルタ

現在、最も注目すべきは1.4Lのマルチエア・ターボだ。その売りは140psの出力よりも、1750rpmという低回転域から発生する23.5kg-mの太いトルクにあり、雨に濡れて光るカーブを鋭く攻めれば、その擬似電動ディファレンシャルシステムが本領を発揮するだろう。

もし、デルタにダイナミックな楽しさを期待しているなら、残念ながらそれは間違いだ。オーバーステア状態に追い込んだ際にプログラムで抑制する、鈍感化された電子制御ステアリングは高度な技術かもしれないが、それは同時に、走りに冷水を浴びせるようなものだ。

とはいえ、中古車はそれほど高くはない。本稿執筆時点で、筆者が見た中で最も安い個体は1500ポンド(約32万円)だ。個性的なルックスに加え、力強い走り、広い室内空間、イタリアンな内装、そして洗練性を兼ね備えたクルマとしては決して高くない価格だ。風変わりな選択肢ではあるが、その疑念を払拭するだけの魅力はある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・ブレンナー

    Richard Bremner

    英国編集部
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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