目指すは次世代のスタンダード 3代目『日産リーフ』を作る人々:チーフデザイナー編 空力を意識した3つのコンセプトとは

公開 : 2026.05.11 12:05

日本画の霞を模したカッティング

日産は『タイムレスジャパニーズフューチャリズム』というデザインテーマを各車に課しているが、リーフにはどのように取り入れられているのか。田勢さんが続ける。

「次世代のスタンダードにも繋がるもので、新しいけれども普遍性のあるデザインだと捉えています。日本の伝統的なものは、古びなかったり、ずっと長く使えたりするものが多いですよね。そういったところをデザインにもなるべく落とし込もうとしています」

日本画の霞を模したという、ガラスルーフのカッティング。
日本画の霞を模したという、ガラスルーフのカッティング。    内田俊一

そこで「ガラスルーフのカッティングは、日本画の霞を模しているんです」と教えてくれたのは、開発責任者の磯部博樹さんだ。

「日本画の下の方に霞みたいな模様があるのですが、その雲がスーッと晴れていくイメージです。実はリーフという字も下から見ると逆文字になっています。イギリス人から『なんで逆なんだ、気持ち悪い』と言われますが、日が当たった時にその影がシートの上に『LEAF』と落ちるんです。その奥ゆかしさみたいな感じですね」

デジタルとフィジカルの融合を狙ったインテリア

一方のインテリアについて田勢さんはこう説明する。

「テーマは『フィジタル』です。デジタルとフィジカルの融合を狙い、例えばインパネの真ん中に大きなモノリスを単独で分離させるのではなく、空間に溶け込ませるように、全体を水平方向のテーマでデザインしています」

デジタルとフィジカルを融合させ、なるべく広い空間性を実現した室内のデザインスケッチ。
デジタルとフィジカルを融合させ、なるべく広い空間性を実現した室内のデザインスケッチ。    内田俊一

その結果としてデジタルとフィジカルを融合させ、なるべく広い空間性を実現したのだ。

「ステアリングも水平スポークです。そうすることで空間以上の広さを表現しています」。また、助手席前の下側にある断面は「目線から見えないように影を作ることでインパネ全体を薄く見せ、EVならではの先進性と軽さを表現」している。シートも先端をブルーバイオレットカラーに変えることで、空間を広く見せる工夫が施されている。

こうして聞いてみると、全体の塊感からSUVのような雰囲気を演出しながらも、空力にも配慮し航続距離を大幅に向上させた手腕は見事だ。インテリアは一部操作性で気になる部分もあるが、広々感とともに清潔感があり好感が持てた。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    内田俊一

    Shunichi Uchida

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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