電動アクスルのリアルサウンドを車内へ伝達 フェラーリ初のEV『ルーチェ』正式発表(2) 4基のモーターで合計1050ps

公開 : 2026.05.26 16:25

リアルの機械音を車内へ流す

アクティブリアステア、トルクベクタリング、そして低重心により、ステアリングラックは同じであるにもかかわらず、ステアリングレスポンスはプロサングエよりも15%速いとされている。

デ・シモーネ氏は高速域でのステアリングレスポンスについて、「主役がステアリングなのかエンジンなのか分からないほどです」と述べつつ、「非常に自然です。常にドライバーの要求に応えています」と強調した。

フェラーリ・ルーチェ
フェラーリ・ルーチェ    フェラーリ

フェラーリは、自社モデルのドライビング特性の多くがパワートレインと深く結びついていることを認めている。ルーチェでもクルマとドライバーの一体感を高めるため、「パフォーマンス」モードではモーターやギアが噛み合う際の音を直接取り込み、車内に増幅して流す仕組みになっている。

「その音は本物です。リアルな音です」とデ・シモーネ氏は語った。「どこから音が来ているかも分かるでしょう。偽物のノスタルジックな音は求めていませんでした」

パドルで調整可能な5段階の「ギア」

ステアリングコラムパドルも健在だが、ヒョンデアイオニック5 Nのような疑似的な変速とは仕組みが異なる。左側のパドルは回生ブレーキを強化すると同時に、出力を低下させる。

5段階の調整が可能で、最も強い設定ではスロットルオフ時の減速で0.33gの加速度が発生する。「これは12チリンドリの2速でのエンジンブレーキとほぼ同じ」だとデ・シモーネ氏は言う。右側のパドルはこれを弱め、フルスロットル時の出力を高める。

フェラーリ・ルーチェ
フェラーリ・ルーチェ    フェラーリ

どの速度でも任意の「ギア」を選択できるが、シフトアップするたびにパワーが追加され(約0.2gの加速度)、最高設定では全出力が解き放たれる。

デ・シモーネ氏は、「これはフェイクのトランスミッションではありません。パワーは速度ではなく、段階的に切り分けられています。ドライバーの能動的な意思決定のために、この相互作用を維持しているのです」と説明した。

その背景には、低速コーナーでは強い減速が必要であり、そもそも1050psすべてを使い切ることはできないという考えがある。「低速コーナーの出口でフルパワーを制御するのは容易ではありません」とデ・シモーネ氏は述べている。

このマニュアルモード以外では、回生ブレーキのレベルは約0.05gという「ほぼ惰性走行」に近いものであり、これは「8速ギア時のプロサングエと同等」だという。

欧州では2027年初頭に発売

ルーチェの価格はまだ確定していないが、来年初頭に販売が開始される欧州市場では55万ユーロ(約1億円)と予想される。英国では来春に発売され、価格は44万ポンド(約9400万円)になると見込まれている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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