チェコ発祥ブランドが欧州第2位へ大躍進 スコダのトップ、クラウス・ツェルマー氏:リーダー賞(前編) #AUTOCARアワード2026

公開 : 2026.07.08 17:05

ポルシェ米国法人からVW販売責任者へ

ドイツ生まれのツェルマー氏にとって、探求と実験への情熱こそが、そもそもスコダの役職を引き受けた大きな理由だった。彼は、ポルシェの米国法人を率いた長い期間について「おそらく最高の仕事でした」と振り返るが、23年間も勤める中で新鮮さが薄れ始めていたという。そのため、量販ブランドへの転身は、新しいことに挑戦する絶好の機会だった。

そのチャンスが訪れたのは2020年のこと。当時フォルクスワーゲン・グループのトップだったヘルベルト・ディース氏から、ドイツに戻りフォルクスワーゲンの販売・マーケティングを統括するよう求められたのだ。職務範囲はこれまでとは劇的に異なり、課題も山積していた。特に、新型コロナウイルスのパンデミックが世界的に猛威を振るう中、自動車業界が生き残りをかけた熾烈な戦いを繰り広げていたことを考えればなおさらだ。

スコダ・エルロック
スコダ・エルロック    スコダ

とはいえ、ツェルマー氏はそうした状況にも特に怯むことはなかった。持ち前の謙虚さから、自分に必要なスキルがあるかどうか完全には確信が持てなかったものの、気さくな性格ゆえに、とにかく全力で取り組んでみようと決意したのだった。

「ヘルベルトはわたしにこう尋ねました。『クラウス、君は量販ブランドをこなせるか?』と。わたしは『分かりません。正直なところ、答えられません。自分にそれができる素質があるかどうか確かめてみます。そして、持てる力をすべて注ぐつもりです』と答えました。そして、実際にそうしました」

功績が認められスコダのトップに

ツェルマー氏がこの役職に就いた直後の2021年、フォルクスワーゲンは激動の時期を乗り切り、販売減少率を比較的許容範囲内の8%に抑え、欧州で最も売れた自動車ブランドとして1年を締めくくった。販売台数は、次点のトヨタプジョーを合わせた台数にほぼ匹敵するほどだった。

同様に重要なのは、フォルクスワーゲンのEV販売台数が約2倍に増加し、利益率向上という目標に向けて順調な軌道に乗っていたことだ。同時期、他の主要ブランドにとっては夢に見るような成長だった。

スコダ・エルロック
スコダ・エルロック    スコダ

高級車ブランドから世界最大級の販売台数を誇る量販ブランドへの転身は、当初、学ぶべきことがあまりにも多く、「消防ホースから水を飲むようなもの」だったという。それでも、ツェルマー氏の貢献はフォルクスワーゲンの業績に多大な好影響を与えた。当然のことながら、キャリアの階段をもう一段上るチャンスがすぐに訪れた。

ツェルマー氏はこう振り返る。

「(スコダの経営を引き継ぐよう)打診された時、普通なら少し躊躇して『一晩考えてみる』と言うところを、わたしは即座に『はい、やります。すごく面白そうですね』と答えたんです」

(翻訳者注釈:この記事は「後編」へ続きます。)

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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