たった1台しか作られなかった奇抜なクルマ 33選(前編) ツインエンジンのランチアからポルシェのステーションワゴンまで

公開 : 2026.07.26 11:05

アストン マーティン・ブルドッグ(1980年)

アストン マーティンが、ウィリアムズ・タウンズ氏が設計した未来的なミドシップレイアウトのブルドッグを開発した際、最大25台生産するという話があった。電動ガルウィングドア、700psを叩き出すツインターボV8エンジン、そして想像しうる限り最もドラマチックなプロポーションを備えていたため、買い手はすぐに見つかったはずだ。

実測で320km/h近い最高速度を誇るブルドッグは、間違いなく世界最速の量産ロードカーとなっていたはずだ。しかし、開発作業がすべて完了した頃にアストン マーティンの経営権が移り、新オーナーは「典型的な英国の自動車メーカー」として進むべき道ではないと判断した。そのため、唯一製作された1台は売却されることになった。

アストン マーティン・ブルドッグ(1980年)
アストン マーティン・ブルドッグ(1980年)

その車両は現在も現存しており、最近、徹底的なレストアが行われた。そして、2023年6月、スコットランドの旧空軍基地でついに320km/hの壁を突破した。

フォルクスワーゲン・シロッコ・ツインエンジン(1983年)

アウディ・クワトロが驚異的な走破性能で世界中のラリーステージを席巻する中、フォルクスワーゲンも四輪駆動に興味を抱き、このモデルを考案した。フロントとリアに1791ccの4気筒エンジンを1基ずつ搭載したシロッコだ。この仕様により、最高出力360psを発生し、最高速度は290km/h、0-100km/h加速はわずか4.5秒を記録した。
このシロッコを2台製作されたた。1台はテスト用、もう1台は展示用だ。

1983年後半には、角ばったホイールアーチと異なるメカニカルスペックを備えた後継モデルが登場した。今回は各エンジンの排気量が1781ccとなり、141psを発生。共通のリンケージを持つ2基のマニュアル・トランスミッションに代わって、3速オートマティック・トランスミッションが2基搭載された。

フォルクスワーゲン・シロッコ・ツインエンジン(1983年)
フォルクスワーゲン・シロッコ・ツインエンジン(1983年)

フォルクスワーゲンは、量産化が可能となるレベルまでこのシロッコ・ツインエンジンの開発を進めたが、実際に製作されたのは1台のみだった。

フォード・スーパーバン2(1984年)

初代スーパーバンが、従来のトランジットのスチール製ボディを使用していたのに対し、2代目モデルには量産車の7割のサイズのグラスファイバー製ボディが採用された。駆動系は、未導入に終わった耐久レース用マシン『C100』のものを流用し、590psの3.9LコスワースDFL V8エンジンを搭載した。これにより、英国のシルバーストーン・サーキットで行われた計測の結果、スーパーバン2の最高速度は283km/hに達した。

フォード・スーパーバン2(1984年)
フォード・スーパーバン2(1984年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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