たった1台しか作られなかった奇抜なクルマ 33選(前編) ツインエンジンのランチアからポルシェのステーションワゴンまで

公開 : 2026.07.26 11:05

ランチア・トレヴィ・ビモトーレ(1984年)

1984年、ランチアはラリーで勝利を収めた037の後継車を開発する際、競争力を維持するためには四輪駆動を採用せざるを得なかった。当初の(かなり奇抜な)解決策として登場したのがトレヴィ・ビモトーレで、ターボチャージャー付き2.0L直列4気筒ツインカムエンジンを2基搭載している。非常に速く、高性能だったが、機械部品が2倍あるため重量が重くなりすぎ、さらに後部エンジンは過熱しやすい傾向があった。

2基のエンジンは機械的に連結されておらず、2基のトランスミッションだけが接続されている。1本のシフトレバーで操作でき、1つのペダルで2つのクラッチを作動させることができる。ダッシュボードには2つのタコメーターがあり、2つ目はスピードメーターの代わりとなる。また、中央にある2つの計器は、各エンジンの水温と油圧を表示する。

ランチア・トレヴィ・ビモトーレ(1984年)
ランチア・トレヴィ・ビモトーレ(1984年)    平井大介

ポルシェ928-4(1984年)

ポルシェパナメーラ・スポーツツーリスモの直接の先祖にあたる928-4。Bピラーより前部は通常のポルシェ928 Sと同じだ。しかし、車体後部はハッチバックに完全に置き換えられ、2列目乗員の足元スペースを確保するため、ホイールベースも250mm延長されている。

1984年9月、フェリー・ポルシェ氏の誕生日を記念して贈呈された928-4は、通常のリトラクタブルヘッドライトの代わりにプロジェクターヘッドライトを採用しているほか、緑色に着色されたガラスや、緑色で仕上げられた独自のレザー内装も備えている。この車両は現在、シュトゥットガルトにあるポルシェ博物館に展示されている。

ポルシェ928-4(1984年)
ポルシェ928-4(1984年)

ポルシェ928 H50(1987年)

ポルシェがシューティングブレイクの928を開発してから3年後、この5ドア・ステーションワゴンが完成した。ただし、リアドアは極めて小さかったため、「ハーフドア」と分類された。そのため、おそらく4ドア・ステーションワゴンと言えるだろう。1987年に完成したものの、初めて公開されたのは2012年のペブルビーチ・コンクール・デレガンスだった。ポルシェはボディ剛性を十分に確保できなかったため、量産化を中止したのだ。

シューティングブレイクが928 Sをベースにしていたのに対し、H50は928 S4をベースとした。つまり、パワートレインは以前の4.7Lエンジンではなく、5.0L V8エンジンだ。330psにチューニングされたH50は速かっただろうが、剛性の低さゆえにハンドリングは悪かったと思われる。

ポルシェ928 H50(1987年)
ポルシェ928 H50(1987年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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