【ドイツ御三家へ挑戦状】ジェネシスG70 2.0Tへ試乗 一部の仕上がりは競合以上

公開 : 2021.10.10 08:25  更新 : 2021.10.11 17:45

ヒュンダイが欧州での定着を狙う上級ブランド、ジェネシス。SUVに続いてドイツ御三家へ挑む4ドアサルーンを、英国編集部が評価しました。

ドイツ御三家が強いプレミアム・サルーン

執筆:Richard Lane(リチャード・レーン)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
欧州市場では、プレミアム・サルーンに乗るドライバーの多くがドイツ製モデルを選ぶ。それが現実だ。ブランドを乗り換えるという人も少ない。仮に違う銘柄を検討する場合でも、ドイツ御三家が選択肢になることがほとんど。

キャディラックにクライスラーインフィニティレクサスだけでなく、アルファ・ロメオジャガーでさえも、4ドアサルーンでの支持は得にくいのが実情。価値あるクルマが、人気を得られないまま姿を消すことも多かった。

ジェネシスG70 2.0T スポーツライン(英国仕様)
ジェネシスG70 2.0T スポーツライン(英国仕様)

恐らく新しいジェネシスG70も、その牙城を揺るがすことはないだろう。でもSUV一辺倒のような時代に、新鮮で印象的なデザインを持つ3ボックス・サルーンの登場は、歓迎したいところ。サイズも丁度良く、後輪駆動でもある。

しかもタイヤはスポーティなミシュラン・パイロットスポーツ4S。G70の内容は悪くない。

ジェネシス・ヨーロッパには、精鋭が揃っている。チーフエンジニアのタイロン・ジョンソンは、先代のフォード・フォーカスRSの開発に関わっていた人物だ。

クリエイティブ部門のチーフは、カーデザイナーのルク・ドンカーヴォルケ。ランボルギーニムルシエラゴやべントレーEXP 10 スピード6 コンセプトのデザインを率いた経歴を持つ。

研究開発部門のトップはアルバート・ビアマン。歴代のBMW M3やM5の中で、傑作と呼ばれるモデルを監修している。彼はジェネシス・ブランドが誕生した2015年以来、ヒュンダイ・グループ全体のR&D部門でトップを務めている。

BMWでは3シリーズに相当するG70

ジェネシスというブランドは、韓国のコングロマリット発のラグジュアリー・ブランド。欧州へは2021年に上陸を果たした。

BMWを例にすると、5シリーズへ相当するG80と、X5相当のGV80がブランド上位モデル。その下を支えるようにBMW 3シリーズに相当する今回のG70と、X3相当のGV70をラインナップする。AUTOCARではGV70へ試乗済みで、印象は良かった。

ジェネシスG70 2.0T スポーツライン(英国仕様)
ジェネシスG70 2.0T スポーツライン(英国仕様)

さらに純EV仕様のG80も登場予定。コンパクト・クロスオーバーのGV60も控えている。ジェネシスは、ハイブリッドをスルーした。内燃エンジンから直接、純EVへシフトする戦略を取っている。

G70には、ガソリンターボとディーゼルターボ・エンジンが載る。Dセグメントの中で、車重は比較的重い方。レイアウトは縦置きエンジンの後輪駆動で、BMWに近い。

キア・スティンガーGT-Sに搭載される3.3L V6ツインターボも一部の市場では提供されているが、英国へ入ってくるかは不明。当面は直列4気筒のみとなる。トランスミッションは共通して8速ATだ。

クロスオーバーのGV70には電子制御のリミテッドスリップ・デフが組まれるが、サルーンのG70では見送られた。シンプルだが、仕上げが良ければ魅力的なクルマになる構成でもある。

トリムグレードはプレミアムラインとラグジュアリーライン、スポーツラインの3段階。オプション・パッケージも多彩に用意され、試乗車のスポーツラインには4つのパッケージが載り、英国価格は4万9590ポンド(753万円)に上昇していた。

ちなみに英国でのG70は、33400ポンド(507万円)からに設定されている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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