フォルクスワーゲンID.4 詳細データテスト 穏やかな出力特性と操縦性 遅くないが刺激は足りない

公開 : 2021.11.06 20:25  更新 : 2021.11.08 06:37

購入と維持 ★★★★★★★☆☆☆

今年3月、英国の大蔵省はプラグイン車への補助金を再度導入したが、ID.4 GTXのようなクルマは蚊帳の外だった。新車のEVを購入しても、支給されるのは2500ポンド(約35万円)のみで、しかも対象は本体価格3万5000ポンド(約490万円)まで。

ID.4の場合、当てはまるのは最廉価グレードのみだ。となれば、どうがんばっても対象になりそうもないGTXの値付けを、無理して下げることはないという理屈が成り立つ。

ID.4の残価予想はまずまず悪くない。フォード・マスタング・マッハEの最上級グレード以上で、ヒュンダイ・アイオニック5と同等だ。
ID.4の残価予想はまずまず悪くない。フォードマスタング・マッハEの最上級グレード以上で、ヒュンダイ・アイオニック5と同等だ。

しかし、それにしても容赦ない値付けではないだろうか。今回のGTXマックスは、GTXの装備拡充版で、サラウンドビューパーキングカメラやアダプティブダンパー、3ゾーンエアコンやエネルギー効率が高いヒートポンプまで備わる。

その価格は5万5555ポンド(約778万円)。同じくツインモーターを積むアウディQ4 Eトロンでも、これより4000ポンド(約56万円)安い。競合する仕様のスコダやヒュンダイなら、もっと低価格だ。

価格面のデメリットを補ってあまりあるのは、まさにフル装備であること。もちろん、ディーラーオプションは別だが、メーカーオプションで追加するものはほとんどない。

ベースのGTXは、もっと競争力のある価格だ。フォード・マスタング・マッハEの2モーターを積むロングレンジ版よりより安く、ポールスター2の同等グレードを上回る程度に設定されている。

GTX系も含め、ID.4は125kW充電に対応するが、ヒュンダイやキアが250kWを導入しようとしていることを考えると、驚くには及ばない。テスト時には、113km/h巡航での航続距離は385kmほどだった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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