BMW iX 詳細データテスト 至高の快適性 有り余るポテンシャル 好き嫌い分かれそうなルックス

公開 : 2022.03.12 20:25  更新 : 2022.03.13 02:16

内装 ★★★★★★★★★☆

フレームレスドアを開け、乗り込んだキャビンは、外観ほどどぎつくはない。むしろ、ちょっとばかり普通すぎるくらいだ。

大柄なフロントシートはヘッドレスト一体型で、座面はかなり高く、脚を曲げてペダルを踏むポジションだ。前方視界はいいが、肩越しと後方はそれほどでもない。

インテリアには、外観ほどのケレン味はない。大画面の曲面ディスプレイが目を引くが、全体的には控えめのデザイン。手当たり次第にタッチパネルを設置してドライバーの集中力を削ぐようなことがないのは、さすがBMWだ。
インテリアには、外観ほどのケレン味はない。大画面の曲面ディスプレイが目を引くが、全体的には控えめのデザイン。手当たり次第にタッチパネルを設置してドライバーの集中力を削ぐようなことがないのは、さすがBMWだ。    MAX EDLESTON

前席周りや両サイドのパネルとコンソールのデザインテーマは、華やかさが際立つというものではない。目が眩むほどクロームを乱用したり、手の届くところが軒並みタッチパネルになっていたりする類の高級車とは異なる。

デバイスのサイズはほどほどで、マテリアルと仕上げは魅力的な高級感を放つが、やや控えめで、円満にバランスの取れた雰囲気だ。集中力を削ぐものはなく、スマートで魅力的。しかも、くつろがせてくれる。

iXのキャビンには、先行したオール電化モデルのi3との共通性が確かにある。フラットなフロアは、前席のフットウェルが左右繋がっている。スカットルは低く感じられ、ステアリングホイールは2本スポークで、高さのあるセンターコンソールは2段式でストレージが設けられている。

いっぽう、メーターパネルとインフォテインメント用画面が一体化したディスプレイはi3より幅広く、曲面を描く。ドライバーの方へわずかに傾けたそれは、ダッシュボードの上面に大きく広がっている。

居住スペースに関して、不足はほとんどない。後席は、フルサイズサルーン並みのレッグルームがあり、ヘッドルームでは凌いでいて、乗降性にも優れる。ただし、クッションはサルーンのリアシートより短くてフラットだ。

ほかの高級SUVのようなスタジアムスタイルにはなっていないが、それでも後席からの眺めは良好だ。携帯デバイスの充電をしようという場合には、目の前の前席シートバックにポートが備わっている。

対して荷室は、サイドまで回り込んだテールゲートから想像するよりやや幅が狭く感じる形状だ。とはいえ、ウインドウのラインより下の荷室容量は、後席使用時でも500L確保されている。3分割の後席シートバックを倒して、天井近くまで荷物を積めば、一般的な3ボックスセダンでは太刀打ちできない積載量を発揮する。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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