BMW iX 詳細データテスト 至高の快適性 有り余るポテンシャル 好き嫌い分かれそうなルックス

公開 : 2022.03.12 20:25  更新 : 2022.03.13 02:16

購入と維持 ★★★★★★★★★☆

エントリーグレードのxドライブ40の価格は、7万ポンド(約1085万円)以下から。マーケットですでに地位を確立しているプレミアムブランドの電動SUV、メルセデス・ベンツEQCジャガーIペイスとの競合が考えられる。対して上位グレードは、もっと風変わりなモデル、テスラモデルXプレイドやアウディE-トロンSクワトロのライバルとなるだろう。

テスト車両が見せたパフォーマンスや洗練性、万能性や広さを考えると、フルサイズのレンジローバーと同程度の9万6905ポンド(約1502万円)という価格は、リーズナブルだというのが大方のテスターの感想だ。ただし、この高価格を正当化できる商品力があるのか、疑問を呈する声があったのも事実だが。

3年・5.8万km走行後で50%という残価率は、10万ポンド(約1550万円)級の高級車としては怒りすら覚える低さだ。
3年・5.8万km走行後で50%という残価率は、10万ポンド(約1550万円)級の高級車としては怒りすら覚える低さだ。

このiXは、2022年における電動車を走らせる上で最大の障害をクリアできてはいるのだが、期待したほど安心して乗れるものではないかもしれない。寒い中でのテストでは、高速道路を114km/h巡行した場合、100%充電で航続距離が441km、80km/hで525kmだった。

平均電費は、動力性能計測も含めて3.9km/kWhだ。ジャガーやメルセデス、アウディのライバル車には水を開けているが、おそらくそのマージンは期待値に届いていないといえるだろう。

DC急速充電は、最大200kW対応が標準仕様だ。10~80%チャージの所要時間は、30分以下に抑えることが可能だが、あくまで最大値での充電が可能な施設を使えば、という条件付きの話だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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