テスラ・モデルY 詳細データテスト 強力な動力性能 走りの洗練性は問題外 充電設備の内容は圧倒的

公開 : 2022.04.02 20:25  更新 : 2022.04.02 21:35

テスラには、通常とは異なる評価軸が必要です。強力な動力系と広い室内が生む実用性はライバルを凌駕するものの、乗り心地や遮音性は大いに問題あり。しかし、EV普及の鍵となる充電設備の充実ぶりは、他の追随を許しません。

はじめに

テスラは、ほかの自動車メーカーとは違っている。モデルSの登場から10年で、モデルラインナップが十分に揃い、数百万台を販売した。EVの導入が遅々として進まなかった既存メーカーを顔色なからしめる躍進ぶりだ。もはや、スタートアップ企業とはいえない存在となっている。

なおかつ、メルセデス・ベンツあたりでは考えらえないようなこともしている。たとえば、まだ生産型が完成していないトレーラーやピックアップトラック、ロードスターでさえデポジットを取ることがそれだ。

テスト車:テスラ・モデルYロングレンジAWD
テスト車:テスラ・モデルYロングレンジAWD    MAX EDLESTON

またテスラは、アメリカでフル自動運転システムのパブリックベータ版をリリースしている。実際には、自動運転にまだまだ程遠いにもかかわらずだ。

今回のモデルYも、そうしたテスラ特有のケースのひとつだといえる。コンパクトSUVは、世界的に見ても非常に重要なセグメントとなっている。にもかかわらず、欧州市場への導入は、アメリカでの発売から2年も遅れたのである。

それはテスラ自身の判断によるところもあるが、ドイツの新工場設立に伴う困難も一因だ。そこにはもちろん世界的なパンデミックの影響もあったが、ドイツでは前例のない自動車工場を造る上で必要な法的な手続きなどを少なく見積もっていたのも原因だろう。

今でも、ドイツ工場は本格稼働していない。ベルリンにあるそれは、今年終盤からモデルYの生産を開始する予定だが、おそらくは最重要モデルとなるそれの欧州仕様を、中国工場で生産して輸入する決断をした。

そうして今回、テスラの稼ぎ頭になりそうなモデルYと間近に接する機会を得たのだ。果たして、それだけ待った甲斐のあるクルマなのだろうか。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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