ベントレー・フライングスパー 詳細データテスト 快適さと走りの好バランス 電池容量と静粛性に難が

公開 : 2022.08.27 20:25  更新 : 2022.09.06 05:17

内装 ★★★★★★★★★☆

フライングスパーは一般的な5人乗りと、左右独立で調整可能なラウンジ風リアシートと前後を貫くセンターコンソールを備える4人乗りが用意される。今回のテスト車は後者だ。

この4座レイアウトが見せる特別感と、贅沢な快適性は、なかなか並ぶものを見つけられないくらいだ。客観的に見たマテリアルのリッチさと、いかにも高価そうな手触りは、どちらも驚くほど高い。もっと主観を混ぜるなら、魅惑的で、包まれ感と、心からリラックスできる雰囲気がある。堅苦しさやフォーマルさ、偉ぶりすぎた感じはそれほどない。

サルーンとしては天井が低めではあるものの、長身でも頭がつかえそうになるようなことはない。質感や装備に文句があるはずはないが、荷室の狭さにはちょっと戸惑う。
サルーンとしては天井が低めではあるものの、長身でも頭がつかえそうになるようなことはない。質感や装備に文句があるはずはないが、荷室の狭さにはちょっと戸惑う。    WILL WILLIAMS

乗り込むには、腰を低くかがめて、フルサイズサルーンにしては低いルーフラインに頭をぶつけないよう気をつける必要がある。乗り込んでみると、ヘッドルームは背の高いひとならそれほど広いと思えない程度だと気づくだろう。

もちろん後席のほうがタイトだが、オプション設定されるコンフォート・スペシフィケーションの電動調整式シートをリクライニングさせれば、レッグルームを多少犠牲にするが頭上は余裕が生まれる。身長が188cm以上でも、窮屈に感じることはないはずだ。

4座レイアウトとしたことで、後席のVIPにもワイヤレス充電や有線の充電ポートを提供するスペースが生まれた。また、センターアームレストはヒーター付きで、その下には十分すぎる収納スペースがあり、カップホルダーやシートのヒーターとクーラー、左右独立の空調と送風口も用意され、美しい木目の電動式折り畳みテーブルも備わる。インフォテインメント系のタッチ式画面は、テスト車には未装着だったが、有償で2名分追加できる。

マリナー仕様を選ぶと、木目パネルやディテールのデザイン、刺繍が特別仕立てになり、異なる色合いのレザーを組み合わせた内装も選択可能。アンビエントライトに設定されるムードライティングは、暗くならないとわからないくらいの控えめな明るさがうれしい。

インテリアのクローム装飾は、どこをとっても本物の手触りで、ローレット加工が施されていない部分であっても、いかにもコストがかかっていそうだ。回転式のセンターディスプレイは使いやすく、しかし、必要ないときには簡単に格納できるのがまたすばらしい。またデジタルメーターは、ハイブリッド専用の表示内容となり、読みやすさや見栄えを考えての切り替えも巧みだ。

荷室容量は351Lで、エンジンモデルの420Lより減少している。容量はコンパクトハッチバックと大差なく、大きめのスーツケースや荷箱を積もうと思ったら、おそらくガッカリするか戸惑うかするだろう。とはいえ、日常づかいできないほど狭いわけではなく、所有したい気持ちを削ぐほどではないはずだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ウィル・ウイリアムズ

    Will Williams

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

関連テーマ

おすすめ記事

 

ベントレーの人気画像