ベントレー・フライングスパー 詳細データテスト 快適さと走りの好バランス 電池容量と静粛性に難が

公開 : 2022.08.27 20:25

操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆

四輪操舵が装備されないことで、低速での取り回し性に問題が出るかもしれない。とはいえ、タイトなスペースや狭い交差点などでは注意が必要ではあるものの、ハンドリングにそれほど大きな悪影響はみて取れない。

ベントレーがこのモデルに施したチューニングは、2年前にテストしたW12よりややコンフォート志向に寄せてあるように感じられ、多少なりともより穏やかに走る。市街地や低速域での俊敏さは、わずかに目減りしているが、まったく問題にはならない程度だ。

重くて長いサルーンではあるが、エンスージアストの御眼鏡にかなう、という枕詞がつく。ボディコントロールはしっかり抑えが効いていて、ロールは小さく、望んだラインにきっちり張り付いてくれる。
重くて長いサルーンではあるが、エンスージアストの御眼鏡にかなう、という枕詞がつく。ボディコントロールはしっかり抑えが効いていて、ロールは小さく、望んだラインにきっちり張り付いてくれる。    WILL WILLIAMS

郊外でスピードを上げると、ハンドリングは魅力的な整然さと正確さ、バランスや滑らかさを発揮する。その気になれば、かなり速く熱いコーナリングもこなしてくれる。ソフトめな走行モードでハードに旋回してもロールは過剰ではなく、ラインをタイトになぞり、パワーをかけても鋭い旋回挙動を保つ。ただし、コーナリング中にバンプを踏んだりサスペンションが底突きしたときには、車体の大きさや重さを痛感することになる。

ステアリングは常に身の詰まった手応えで、フィードバックは薄く、ダイレクトさはそこそこ。自分が運転しているのが、ショーファーカーではなくエンスージアスト向けのクルマであることを思い出させてくれるのがうれしい。そのうえ、ややフワフワした乗り心地が足枷になるような道や速度域では、スポーツモードを選べばその傾向を控えめながらも抑えることができる。

サーキットで限界を引き出すと、驚くほど粘り強くコーナリングラインに食いついてくれる。しかも、パワーをかけても優れたバランスとスタビリティを失わない。あからさまにスポーティではない仕様のベントレーがほかもそうであるように、ブレーキにはキツく、熱ダレさせずにパワートレインのポテンシャルをフルに引き出してラップを重ねることはできない。とはいえ、公道を普通に走っている限りは、フェードが問題になることはない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 撮影

    ウィル・ウイリアムズ

    Will Williams

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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