BMW X1 詳細データテスト 高級感と広さは満足 走りと車格は不釣り合い ナビも改善の余地あり

公開 : 2023.02.04 20:25

内装 ★★★★★★★★☆☆

見込み客の多くが、シートに座っただけで新型X1に納得するかもしれない。ボルボXC40やアルファロメオ・トナーレあたりから乗り換えると、この上級スペックのテスト車はマテリアルだけでなく、スペースや実用性でも圧倒されるはずだ。

先代モデルから乗り換えたのなら、驚くほど広いわけではないかもしれない。というのも、これはBMWのなかでも、広さや収納力で選ばれるクルマだからだ。

BMWのインターフェイスは、これまで模範的でありつづけた。しかし、デジタル化を進めた挙句、使い勝手に難が出ている。他社の陥った轍を踏んでしまったようだ。
BMWのインターフェイスは、これまで模範的でありつづけた。しかし、デジタル化を進めた挙句、使い勝手に難が出ている。他社の陥った轍を踏んでしまったようだ。    MAX EDLESTON

クラストップレベルの荷室容量と後席レッグルームをはじめ、300ポンド(約4.8万円)のオプションながら後席スライドも装備できる。また、荷室内のさまざまな小物置き場やフック、収納スペース十分なフローティングセンターコンソールまで備えている。

前席は、先進的で宇宙船を思わせるフライトデッキのような雰囲気。これはソリッドなフィーリングのアルミ構造体やメカニカルなフィーリングのドアハンドル、あってほしいところにあるソフトなマテリアル、そしてみごとに加工された金属のスピーカーグリルのなせる業だ。

しかしながら、走り出すと状況はバラバラになってしまう。もちろんそれは、文字通りではない。製造クオリティはじつにソリッドだし、BMWの使い勝手は模範的だ。しかし、この最新世代のユーザーインターフェイスは大きく後退した。BMWは、フォルクスワーゲンが撤退を明言しているのと同じ落とし穴にハマったようだ。

空調関係はすべてディスプレイへ統合された。とはいえ、その配置が乱雑でなければ、たいした問題にはならなかったはずだ。たとえば、シートヒーターを全開にしてからナビ画面へ戻るには、エアコンのアイコンに続いて、+ボタンを5回もタップし、それからナビボタンをタップしなくてはならない。おまけに、シートヒーターが低めに設定されていると、ディスプレイはそれを示してくれない。

メーターパネルは全車デジタルだが、これも見栄え重視の犠牲といえる。ビジュアルはすばらしく、解像度もきわめてシャープだ。だが、どの表示もとくにクリアではなく、画面の多くの部分が使われず無駄になっている。マップと平均燃費を同時に表示しようとしても、余地はあるのにそういうモードが用意されていない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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