BMW X1 詳細データテスト 高級感と広さは満足 走りと車格は不釣り合い ナビも改善の余地あり

公開 : 2023.02.04 20:25  更新 : 2023.03.05 02:19

新型X1は室内の広さや高級感こそ合格点ながら、トランスミッションの洗練性不足、ファミリーカーらしからぬ高回転型エンジンと要求が高すぎるシャシー、後退した感が否めないインフォテインメントに不満の残るクルマでした。

はじめに

BMW X1は、コンパクトプレミアムクロスオーバーなるセグメントを手探りで切り拓いてきたが、その誕生時からは大幅な進歩を遂げた。

初代X1のデビューは2009年。それほど古い話ではないが、当時はBMWのみならずメーカー全般が、この手のクルマのユーザー像を明確にしようと模索していた。

テスト車:BMW X1 xドライブ23i Mスポーツ
テスト車:BMW X1 xドライブ23i Mスポーツ    MAX EDLESTON

ベースとなったのは3シリーズで、エンジン縦置き後輪駆動が基本レイアウト。上級仕様には直6+4WDが用意され、北米向けには300ps級の3.0Lターボも設定された。キャビンは窮屈で、質感はBMWの水準に達していない感もあったが、それでも当然と言うべきか、運動性はBMWの伝統に沿ったものだった。

2代目では、BMWの合理的な判断が下された。ミニと共用する前輪駆動プラットフォームをベースとすることで、室内スペースはかなり広くなった。この方針転換、純粋主義的なBMWファンを激怒させたが、ビジネス面から見れば成功といえる。メルセデス・ベントやアウディボルボランドローバーが送り出した競合モデルを余裕でしのぐ売れ行きを見せたのだから。

そして今回、U11こと3代目X1の登場となった。成功した先代の路線を踏襲し、革新的な変更は避けた印象だ。まずはガソリンとディーゼルのエンジン車が販売されるが、PHEVもさほど長くは待たされないだろう。さらには、iX1ことバッテリーEV仕様も用意される。

今回テストするのは、まずショールームに並ぶ2.0Lガソリンのマイルドハイブリッドモデルだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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