ベントレー・コンチネンタルGTC 詳細データテスト 洗練とスポーティの好バランス サウンドも魅力

公開 : 2023.04.29 20:25

意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆

2023年現在、コンチネンタルはクーペのGTもコンバーティブルのGTCも、幅広いラインナップから選択ができる。2021年に登場したW12エンジンのハイパフォーマンス版であるスピードは健在で、そのうえコンフォート寄りのアズールと、究極のコーチビルドで高級感を高めたマリナーも加わっているのだ。

そのヒエラルキーの中でいえば、V8 Sは低いほうに位置し、おそらくはその控えめな感じには、比較的共感を抱きやすいのではないだろうか。エンジンは4.0LツインターボV8で、エントリーモデルと同じく550ps/78.5kg−mを発生する。8速DCTとクラッチ式のアクティブ4WDシステムも共通だ。

フロントフェンダーのSバッジは、ベントレーらしく控えめ。搭載エンジンを示唆する表示はされていない。
フロントフェンダーのSバッジは、ベントレーらしく控えめ。搭載エンジンを示唆する表示はされていない。    MAX EDLESTON

Sの動力系で異なる点は、新型のアクティブスポーツエグゾーストシステムの採用だ。おかげで、アウディ由来のエンジンがサウンド面を増強している。このあと詳しく触れるが、こっちのほうが断然いいとだけ言っておこう。

サスペンションも基本構造は素のV8と同じで、フロントがダブルウィッシュボーン、リアがマルチリンク。アダプティブダンパーと3気室式のエアスプリングを備え、車高調整も可能だ。差別化ポイントは、48Vアクティブスタビライザーのベントレー・ダイナミックライドだ。スピード仕様のような4WSや、アクティブLSDなどは装備されない。

V8 Sのホイールは新型の21インチもしくは22インチで、ブレーキは鋳鉄ディスクが標準仕様だが、オプションでテスト車に装備されていた大径カーボンセラミックディスクも用意されている。

エクステリアは、ほかのグレードより今風だ。古き佳きクロームトリムを期待するような場所は、ほとんどがグロスブラックに置き換えられ、グリルもブラックアウトされている。前後ライトはダークなスモークタイプが標準装備で、ホイールにはリムを黒く塗ったオプションもある。

二重表皮の電動ソフトトップもほかのGTCと共通で、開閉の所要時間は19秒。ベントレーによればクーペ版より170kg重いとのことで、これはソフトトップの開閉機構とシャシーの補強による増加とみられる。もっとも、実測2295kgというウェイトは、2021年に計測したW12搭載のGTスピードと比べれば16kg重いのみだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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