ベントレー・コンチネンタルGTC 詳細データテスト 洗練とスポーティの好バランス サウンドも魅力

公開 : 2023.04.29 20:25  更新 : 2023.05.06 09:45

操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆

よくできたアクティブアンチロールシステムとアダプティブダンパー、車高調整式エアサスペンションは、気持ちよく走るのにちょうどいいバランスとボディコントロールをもたらしてくれる。やりすぎなところはまったくない。

このクルマは、全般的な洗練性や扱いやすさを一切損なわずに、ダイナミックなハンドリングを上乗せしている。しかし、明らかにベントレーのシャシーエンジニアは、多くの経験を積んで大幅に腕を上げるとともに、このプラットフォームと、シャシーに注ぎ込んできたテクノロジーの能力をしっかり把握するに至っている。

V8 Sは運動性が高まっているが、ベントレーの顧客が望むような洗練性やスタビリティ扱いやすさを損ねるものではない。
V8 Sは運動性が高まっているが、ベントレーの顧客が望むような洗練性やスタビリティ扱いやすさを損ねるものではない。    MAX EDLESTON

GTCのエンジンスタートボタンを押して、走行モードを選ぶ。デフォルトのベントレーモードは、高級車らしい乗り心地と、やや軽めのステアリングの手応え、ほどよく引き締まったボディコントロール、十分なハンドリングのアジリティのバランスがとられ、おもしろみのある道を走りたいという気にさせる。

そのままのセッティングでも、このクルマは大きな路面の凹凸があってさえ自重をきっちりコントロールしてみせる。もっと軽い後輪駆動GTのようなシャシーバランスの純粋さこそないものの、ハンドリングは正確かつ従順で、タイトコーナーもロールやプッシュアンダーもなく曲がっていく。

スポーツモードでは、路面状況によってはわずかにボディが揺すられることもあるが、これは硬めの足回りのセッティングと、低くなった車高の影響だろう。カントリーロードでも舗装がいいところであれば、フィードバックとダイレクトさが少しだけ加わったハンドリングを味わえる。

けれどもこれほどラグジュアリーなクルマだと、関心があるのはいかに乱暴な動きを小さく抑えているかという点だ。それこそ、ほとんどのテスターがカスタムモードをいろいろいじくった理由でもある。エグゾーストは最大限やりたい放題で、ステアリングの手応えはもっとも重くして、サスペンションは中間レベルというところに、セッティングは落ち着いた。

このGTCのハンドリングはドライバーズカーらしいもので、落ち着きとなめらかさを堪能でき、W12のGTCよりたやすく、鮮烈な走りはわずかに上回るのが魅力的だ。車体の大きさや重さは常につきまとうし、高級車らしさが揺らぐこともないが、それもじつに効果的で、期待を裏切らない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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