メルセデスAMG GT 詳細データテスト 純粋さを欠く動力系とハンドリング 気になる高周波ノイズ

公開 : 2023.07.01 20:25  更新 : 2023.07.04 00:56

購入と維持 ★★★★★★☆☆☆☆

もしも4座スーパーハイブリッドGTに20万ポンド(約3660万円)を払える余裕があれば、PHEVならではのランニングコスト節約が購入の動機にはならないはずだ。GT63S Eパフォーマンスの購入者なら、余禄程度に過ぎないはずだ。というのも、これはEV走行距離の長さや、給油回数の少なさといったメリットを享受できるクルマではないからだ。

軽さや、激しく走らせたときの頑強さに主眼を置いたバッテリーゆえに、EV走行距離の公称値は13kmに過ぎないし、テストでは10kmほどしか走れなかった。市街地でエンジンの爆音を撒き散らさずに走るだけなら十分かもしれないが、職場への往復を電力だけで済ませるコミューターにはなり得ない。

残価予想は、主なライバルたちより値落ちが急激で、結果として高くつくことを示している。
残価予想は、主なライバルたちより値落ちが急激で、結果として高くつくことを示している。

EV走行時には、パフォーマンスも限定的だ。0−97km/h加速は、10秒をわずかに超える。エンジンを切ってのドライバビリティは、ハプティックペダルでなんとかやりくりされる。余分な入力には抵抗して、モーター走行範囲のギリギリで止めるのだが、十分に直感的だ。

無論、EV走行距離がもっと長ければ、燃費の改善も見込めたはずだ。テスト時の平均は7.5km/L、ツーリングでは8.5km/Lという結果は、843psの4シーターとしてはたいしたものだ。とはいえ、低燃費とは言い難い。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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