メルセデスAMG GT 詳細データテスト 純粋さを欠く動力系とハンドリング 気になる高周波ノイズ

公開 : 2023.07.01 20:25  更新 : 2023.07.04 00:56

意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆

2018年にデビューしたGT 4ドアは、直6マイルドハイブリッドとV8ターボが用意された。そのスタイリングは、2シーターのGTをストレッチしたような見栄え。それこそ、このデザインのもっとも奇抜な点だ。

実際には、現行のCクラスEクラスCLSに用いられる第1世代のMRAプラットフォームがベースとなっている。2シーターのGTは軽量高剛性のスペースフレーム的な構造だが、GT 4ドアはもっと一般的な乗用車用モノコックが基礎になっている。

Eパフォーマンスのエンジンは既存のV8ツインターボで、駆動系もほぼそのまま。2速ギアボックスを組み合わせたモーターは、リアデフを直接駆動するレイアウトだ。
Eパフォーマンスのエンジンは既存のV8ツインターボで、駆動系もほぼそのまま。2速ギアボックスを組み合わせたモーターは、リアデフを直接駆動するレイアウトだ。

GT63S Eパフォーマンスは、既存のGTのメカニカルなパッケージに、パワートレインの電動化技術が追加されている。変速機以降にモーターを配置するP3スタイルのレイアウトで、ポールスター1などのようなエンジンとリアモーターで電気式4WDを構成するP4スタイルとは異なる。

通常のGT63Sが積むM177型こと縦置きV8ツインターボをはじめ、9速多板クラッチATや機械式4WDシステムの4マチック+、電子制御リアLSDはそのまま使用。これに204psの永久磁石同期モーターと2速ATのパッケージを追加し、4WDシステムのリアデフへダイレクトに駆動力を送り込む。システム全体での最高出力は843ps、最大トルクは149.9kg-mだ。

エンジンとの接続を切れば、電力のみでの4WD走行も可能だ。これは、P4スタイルのハイブリッドにはできないことだ。

モーターへの電力は、AMGがこのクルマの主要な技術的イノベーションだと自負する、高電圧バッテリーから供給される。リアアクスルの直上に置かれ、コンパクトで軽量だが、容量は6.1kWhに過ぎない。しかし、キモはエネルギー密度だ。また、ハイパフォーマンスな電動化モデルが必要とする、急速充電と放電の優れたポテンシャルも備えている。

複雑な直接液冷システムは、バッテリーのケースではなくセルそれぞれを冷やし、90kgを切る重量に寄与する。AMGによれば、エネルギー密度は既製バッテリーのおよそ倍だという。

Eパフォーマンスのハイブリッドシステムは重量削減を図ったのかもしれないが、V8エンジンと機械式4WDシステムはそういうわけにはいかなかった。結果として、テスト車の実測重量は2339kgと、2019年に計測したGT63 4ドアに対し300kg増加している。2020年にテストしたポールスター1も、これよりはわずかながら軽かった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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