【詳細データテスト】マセラティ・グラントゥーリズモ EVらしからぬ好ましい挙動 航続距離は足りず

公開 : 2025.03.01 20:25

意匠と技術 ★★★★★★★☆☆☆

ガソリン車もEVも、マセラティのモデナ工場で生産され、グラントゥーリズモ初の四輪駆動を装備する。純粋主義車は好まないだろうが、フォルゴーレについて言えば、760psオーバーともなれば前輪も駆動するのは当然だと思える。

ボディワークを取り去ったとしたら、408psのモーター3基が確認できる。イタリアのバーリで生産されるマレリ製で、1基がフロント、2基がリアに積まれる。最高回転数は1万7600rpmで、合計1224psとなるが、ニッケル・マンガン・コバルトバッテリーの限界があるため、上限は761psに制限される。

重量と出力が増しているにもかかわらず、ホイールとタイヤはガソリン車と同じものだが、とくに問題は見られなかった。クルージング時には、前輪駆動となる。
重量と出力が増しているにもかかわらず、ホイールとタイヤはガソリン車と同じものだが、とくに問題は見られなかった。クルージング時には、前輪駆動となる。    JACK HARRISON

このモーター、フォーミュラE由来のシリコンカーバイドインバーターを使用。一般的なシリコンインバーターより軽く、パワー密度も大きい。

92.5kWhの800Vバッテリーは、トリノにあるミラフィオリ・バッテリーセンター製。搭載場所は一般的な床下ではなく、ガソリン車のエンジンとトランスミッション、プロペラシャフトがある位置で、リアアクスルの前で十字状になっている。

そのため、もっと低くできたはずの重心は高くなってしまったが、バッテリーのキャパシティを中心に集めたことで、重量をロール軸近辺に集めることができたと、マセラティでは説明している。パウチ式モジュールを用い、パックの重量は600kg。直流急速充電は最高270kWだ。

当然というべきか、軽くて華奢なクルマではない。フォルゴーレの公称2260kgは、V6のトロフェオより465kg重いのだが、実測はさらに重い2358kgだ。ただし、前後重量配分は50:50とパーフェクトだ。

ちなみに、最近計測したポルシェタイカン・ターボSは、公称2295kgに対して2356kg。ドアの数は違うが、この2台はサイズが近い。そして、複数モーターを積むハイパフォーマンスEVは、一般的に見ても非常に重い。

ドライブトレインのほか、荷室フロアやフロントサブフレーム周り、センタートンネルの補強を除けば、フォルゴーレとガソリン車に違いはない。サスペンションは前ダブルウィッシュボーン/後マルチリンクで、2ドアスポーツクーペには珍しいエアスプリング仕様。ダンパーは電子制御で、ホイールとタイヤはガソリン車と同じものだ。

記事に関わった人々

  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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