最近のレクサスってどうですか?LS500h編【日本版編集長コラム#43】

公開 : 2025.08.17 14:05

渡辺敏史さんのLS評

実際に乗ってみると、静粛性も乗り味も、街中からスムーズかつソフトで高級車らしさを感じていたのだが、感動したのは高速道路での中~高速コーナー。その曲がり方がキレイで、スポーツセダンとして実に気持ちいいのだ。

ボディも足まわりも剛性があるというより、『弱さを感じさせる場面がほとんどない』と書くのが自分の印象に近い。先に書いた改良が効いた結果だろうし、FRモデルには元々備わっていたDRS、つまり4WS機能もロングホイールベースのボディを気持ちよく曲がらせるのに効いているのだろう。

当時、世界中のメーカーから研究された初代レクサスLS=トヨタ・セルシオ。
当時、世界中のメーカーから研究された初代レクサスLSトヨタ・セルシオ。    トヨタ自動車

『だろう』と書いたのはその動きが終始自然だからで、メルセデスともBMWとも違う、そこには『日本のレクサス』が示す世界観がしっかりあった。このあたりは、数日後にご一緒した際に少し乗られた、渡辺敏史さんも同じようなことを仰っている。

「昔からのレクサスのイメージにだいぶ近くなっていますね。現行LSがデビューした時は新機軸イコール、スポーティという新しい価値を追求して、古くからのお客さんには違和感があったと思います」

―乗られていて、初代トヨタ・セルシオ感があると。

「すごくありますね。ふんわりと柔らかい感じで、音も静かです。路面からの入力も静かになったんじゃないかな。静粛性に関していえば、かつてクラウンは音を詰め込んで塞ぐ方向でしたが、初代セルシオは音を根源から閉じ込める源流主義で、当時世界中のメーカーから研究されました」

―現在のLSも、その原点に立ち返ったということですね。

「数年前に『レクサスってどういうこと?』と、初代LSのレストアを通じて志を学ぶという啓発活動を行ったそうですが、長年時間をかけて熟成していく中で、方向性が元に戻ったんでしょうね」

熟成度はかなり高い

思い返せば、現行LSは新車当時の試乗会で取材しているが、大雨だったせいでほとんど乗れず、日本の伝統を用いたデザインや素材に驚いた印象しか残っていない。しかし、業界的にはデザインも乗り味も賛否が分かれていたと記憶している。

そこからだいぶ時が経ち、現在の結果(=現行LS)の熟成度がかなり高いことは肌感覚として知ることができた。

正直こんなにイイクルマだったんだと驚いている。
正直こんなにイイクルマだったんだと驚いている。    平井大介

確かにデザインやインターフェイスに古さは隠せないが、もう一度書くと、スポーツセダンとしての乗り味は感動レベルであり、正直こんなにイイクルマだったんだと驚いている。今なら少なくとも、乗り味に関しては『賛』のほうが多くなるだろう。

……予想どおりではあるが、1台だけでそれなりの文字数になってきたので、ここでいったん筆をおきたい。もちろん、次回へ続きます。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。
  • 語り手

    渡辺敏史

    Toshifumi Watanabe

    1967年生まれ。企画室ネコにて二輪・四輪誌の編集に携わった後、自動車ライターとしてフリーに。車歴の90%以上は中古車で、今までに購入した新車はJA11型スズキ・ジムニー(フルメタルドア)、NHW10型トヨタ・プリウス(人生唯一のミズテン買い)、FD3S型マツダRX-7の3台。現在はそのRX−7と中古の996型ポルシェ911を愛用中。

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