2008年:フォードフィエスタ

6代目フィエスタにおいて、フォードは若年層やファッションに敏感な層向けに設計する必要があると考えていた。単なる手頃な価格の実用車ではなく、デザイン性でもアピールする必要があったのだ。

そこでフォードはデザインに力を入れ、エッジの効いた未来的なスタイルを生み出した。結果的にこの賭けは成功し、6代目フィエスタは発売から20年近く経った今も新鮮な印象を保っている。

2008年:フォード・フィエスタ
2008年:フォード・フィエスタ

しかし、ダイナミクスへのこだわりも捨てていなかった。結局のところ、楽しいクルマは誰にとっても魅力的なのだ。フィエスタは当時、Bセグメント・ハッチバックの中で走りにおいては間違いなく最高であり、高性能なSTモデルはホットハッチの殿堂入りを果たした。

楽しい走りとデザインは、前例のない成功へとつながった。英国では発売以来毎年ベストセラー車に君臨し続け、今も英国のいたるところで走っている。

2009年:フェラーリ458イタリア

458が登場するまで、ミドシップのフェラーリが15年ほどわたし達を楽しませてきた。F355は愛され、360モデナも良く、F430は素晴らしいクルマだった。

しかし、F430の後継車を開発する段階で、フェラーリはすでに新型マクラーレンMP4-12Cがカーボンファイバー製モノコックを採用し、V8エンジンをミドシップに搭載することを知っていた。

2009年:フェラーリ458イタリア
2009年:フェラーリ458イタリア

要するにフェラーリは、新型車を特別な存在にしなければならないと確信していた。そして、まさにその通りのモデルが登場した。458イタリアは何世代も時代を先取りしたような感覚を与えた。

当時、AUTOCAR英国編集部はこれを「真に類まれな成果」と評した。新しい基準を打ち立てた458イタリアは、MP4-12Cが太刀打ちできないクルマであり、競合他社はその後も同車に追いつこうと努力を続けている。

2010年:メルセデス・ベンツSLS AMG

メルセデス・ベンツSLRマクラーレンは、スーパーカー、ハイパーカー、グランドツアラーの各ジャンルを融合させた特異な存在だった。巨大かつ高価な先進技術の塊であったが、計画生産台数の3分の2しか売れず、後継車はまったく異なる設計となった。

マクラーレンやゴードン・マレーの関与による複雑化を免れ、SLSはより純粋なスーパーカーとして構想された。SLRの約半額という価格設定もさることながら、最も重要なのはAMGがゼロから開発した初のモデルだった点だ。

2010年:メルセデス・ベンツSLS AMG
2010年:メルセデス・ベンツSLS AMG

SLSは新しいデザイン言語を採用し、最高出力570psの6.2L『M159』V8エンジンという世界最強の量産自然吸気エンジンを搭載。さらに圧巻のガルウィングドアを備えていた。

SLRには若干アイデンティティにブレがあったが、SLSには何の迷いもなかった。徹底的なまでにスーパーカーだった。AUTOCAR英国編集部は「極限まで磨き上げられたホットロッド」のような感覚だと評したが、それはまさにAMGのあるべき姿そのものだ。

(翻訳者注:この記事は「後編」に続きます。)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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