【トヨタ・ハイエース・コンセプト】ついに見えた次期モデルの姿!キーポイントは『カヨイバコ』思想にあり #JMS2025

公開 : 2025.11.02 07:05

トヨタはジャパンモビリティショー2025で、2台のハイエース・コンセプトを発表しました。他にも『カヨイバコ(KAYOIBAKO)』と呼ばれるコンセプトも展示されています。桃田健史の解説です。

壇上に2台のハイエース・コンセプト

なるほど、そういうことか。プレスデーの2日目、トヨタのブースを改めてじっくり巡り、各モデルの開発関係者らと意見交換する中で、次期『トヨタ・ハイエース』の姿がはっきりと見えてきた。

壇上には2台の『ハイエース・コンセプト』が並び、その隣にはコンセプトモデル『カヨイバコ(KAYOIBAKO)』がある。

トヨタ・ハイエース・コンセプト
トヨタ・ハイエース・コンセプト    上野和秀

時計の針を1日戻すと、プレスデー初日の午前8時半、トヨタの佐藤恒治社長がプレゼンで「段ボールにいろいろなサイズがあるように、カヨイバコにもいくつかのサイズがあります」と表現した。その説明を筆者はカヨイバコの前で聞いていたのだが、正直なところピンとこなかった。

なぜならば、2年前のジャパンモビリティショーに登場したカヨイバコを思い出してしまい、それから少し進化した形が『今回のカヨイバコ』だと思ったからだ。あれから2年経過した割には、量産レベルというよりデザインコンセプトの域を出ていない印象があった。

量産されたとしても、同じくトヨタ・ブースに展示された『ランドクルーザーFJ』のように、タイ生産の『ハイエース・チャンプ』をベースにするのか、いやカヨイバコはそこまでガッツリとした車体でもないので別のプラットフォームなのかなど、勝手に想像していた。

ところが、複数のトヨタ関係者から話を聞くと、カヨイバコが『思想』であることが分かった。つまり、次期ハイエースは『カヨイバコの一種』として多様なバージョンが登場する可能性が高いということだ。

カヨイバコ『思想』とは何か?

この『思想』という考えだと、次期ハイエースの商品性がスッキリと理解できる。

どういうことかと言えば、トヨタには今回クーペのコンセプトモデルが登場したことを機に『ブランドに昇格したセンチュリー』を含めて、トヨタ、レクサス、そしてダイハツという4ブランドがある。さらに、三菱ふそうと合併し持ち株会社『アーチオン』の傘下となった日野を含めると5ブランドだ。

トヨタ・ハイエース・コンセプト
トヨタ・ハイエース・コンセプト    桃田健史

また、トヨタの中ではクロスオーバー、セダン、スポーツ、エステートの4車系がある『クラウン群』と、FJ、70、250、300を揃える『ランドクルーザー群』という、トヨタならではの『群(ぐん)』という商品戦略がある。

これらに対して、カヨイバコは『思想』だというのだ。ではこれを、ハイエースに当てはめてみる。

日本にベストマッチの現行200系は改良を重ねてきたとはいえ今年で24年目に突入。直近では生産が追いつかず、発注がかならない状況にある。

一方、東南アジアなどではサイスが大きな300系が登場し、日本では『グランエース』を発売中だが、200系とは『別物』という商品だ。

そうした中、今回展示された中型サイズと大型サイズのハイエースは、乗用車で採用しているマルチパスウェイプラットフォームを採用し、EV、ハイブリッド、ガソリン、ディーゼルなど多様な選択肢がある画期的な発想だ。

詳細は未定だが、次期ハイエースはカヨイバコ思想の中で今後、量産に向けた開発が加速することが期待される。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?
  • 撮影

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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