近年のM4にはない繊細さ:M2 CS

BMW M2 CSは、ミシュラン・パイロット・スポーツ5へ履き替え、コース上で本領を発揮する。「伝統的な小さなMモデルらしい、操縦性がファンタスティック。落ち着きや感覚的な濃さも」。ソーンダースが印象を振り返る。

確かに、近年のM4にはない繊細さを宿す。電子制御のLSDも自然。コーナーへ鋭く飛び込め、安定して脱出できる。ステアリングは重すぎるかもしれないが。

ブラックのBMW M2 CSと、レッドのアウディRS3 スポーツバック
ブラックのBMW M2 CSと、レッドのアウディRS3 スポーツバック

プライヤーは、3シリーズ由来ではなく、独自のプラットフォームならM2 CSは一層良かったはずだと口にする。筆者は、そのお陰で高速域での安定性とバランスが、先代より向上したと考えている。

余りの流暢さでヴァンキッシュを霞める

ヴァンキッシュは、揺るぎないフロントのグリップ力と安定したステアリングで、公道以上に手腕を顕にした。相当な速度域でも、すべての操作を忠実に展開してくれる。

ただし、アクセルペダルを粗野に扱うと、835psものパワーで簡単にテールは外へ流れる。優れたバランスでパニック状態には至らないが、車重は1910kgと軽くない。

手前からフェラーリ12チリンドリと、アストン マーティン・ヴァンキッシュ
手前からフェラーリ12チリンドリと、アストン マーティン・ヴァンキッシュ

他方、フェラーリ12チリンドリは、余りの流暢さでヴァンキッシュを霞めた。V12エンジンは瞬で反応し、荷重移動は自然で、ターンインは鮮明。猛烈に速く、エンターテインメント性も出色だろう。M2以上にMモデル的、という表現は誤解を招きそうだが。

クイックすぎるステアリングを指摘する審査員もいたが、それは完璧へ近いから。弱点が目立ってしまう。明らかに、最終決戦へ進める仕上がりにある。

この続きは、BBDC 2025(5)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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