【現役デザイナーの眼:日産キックス】水平基調へと大きく方向転換 今の時代に求められるサイズ感のSUV

公開 : 2026.07.07 12:05

都会にちょうどいいサイズのSUV

インテリアに目を向けると、横基調のレイヤー構成を採用した薄型インパネによって、開放感のある室内空間を演出しています。その一方で、センターコンソールは一直線に伸びる存在感のあるデザインとなっており、このクラスでは珍しい高級感と安心感があります。

ドアトリムにも質感の高いファブリックやステッチを採用しており、コンパクトSUVとは思えないほど上質な空間に仕上がっています。ファミリーカーとしてのファーストカーにも十分相応しいでしょう。

トレンドである横基調のインパネにより開放感のある空間を演出しながら、直線的なセンターコンソールはしっかりとした存在感があり、適度な囲まれ感も感じられます。
トレンドである横基調のインパネにより開放感のある空間を演出しながら、直線的なセンターコンソールはしっかりとした存在感があり、適度な囲まれ感も感じられます。    日産自動車

ただし、セレナリーフと同様に横一列に並べられたシフトスイッチについては少し気になりました。空間効率やコストを考慮した結果だとは思いますが、レンタカーやカーシェアで初めて乗る人も多いクルマだからこそ、より直感的に操作できるデザインのほうが親切だったように感じます。

エクストレイルをはじめ、マツダCX-5スバルフォレスタートヨタRAV4といったCセグメントSUVは世界的な人気車種です。しかし、モデルチェンジを重ねるたびにボディサイズは拡大し、特に都市部では少し大きいと感じる場面も増えてきました。

その点、これらよりひとまわりコンパクトな新型キックスは、まさに今の時代に求められるサイズ感と言えるでしょう。直接のライバルであるホンダヴェゼルも完成度の高いデザインですが、新型キックスはSUVらしい力強さと都会的な洗練を高いレベルで両立しています。

「こんなSUVを待っていた」という人は、きっと少なくないのではないでしょうか。

記事に関わった人々

  • 執筆

    渕野健太郎

    Kentaro Fuchino

    プロダクトデザイナー兼カーデザインジャーナリスト。福岡県出身。日本大学芸術学部卒業後、富士重工業株式会社(現、株式会社SUBARU)にカーデザイナーとして入社。約20年の間に様々な車をデザインする中で、車と社会との関わりをより意識するようになる。主観的になりがちなカーデザインを分かりやすく解説、時には問題定義、さらにはデザイン提案まで行うマルチプレイヤーを目指している。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

現役デザイナーの眼の連載

連載をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事