【詳細データテスト】フォルクスワーゲン・アルテオン 広く快適 走りは穏当 PHEVの利点は小さい

公開 : 2021.06.19 20:25  更新 : 2021.07.27 14:50

購入と維持 ★★★★★★★☆☆☆

PHEVワゴン市場は、価格帯の幅が広い。トップエンドは、パフォーマンスに特化したプジョー508SW PSEやボルボV60ポールスター・エンジニアードで、6万ポンド(約840万円)近い。逆にボトムエンドはスコダ・オクタヴィアiVエステートなどの実用モデルで、3万5000ポンド(約490万円)を下回る。

アルテオン・シューティングブレークのPHEV版は、エレガント仕様が4万1330ポンド(約579万円)で、だいたい真ん中くらい。テスト車はそれにナッパレザーシートやパノラミックルーフ、そしてIQレイトと呼ばれるハイテクなヘッドライトなどのオプションが加わり、4万6820ポンド(約655万円)となる。

アルテオン・シューティングブレークの残価予想は、大衆車ブランドのライバルたちよりはおおむね上をいくが、プレミアムブランドのBMWには敵わない。
アルテオン・シューティングブレークの残価予想は、大衆車ブランドのライバルたちよりはおおむね上をいくが、プレミアムブランドのBMWには敵わない。

これほど大きく快適で、ふたつのパワーソースを持ち、そのうえ雰囲気もあるのだから、法外な値付けだとショックを受けることはない。とはいえ、BMW 330e Mスポーツ・ツーリングと比較すると、説得力は弱まってしまう。

3シリーズ・ツーリングのPHEVは、およそ4万3000ポンド(約602万円)からで、室内はアルテオンより高級感がある。速さでも余裕で上回り、縦置き4気筒によるネイティブFRならではのキャラクターも備える。われわれの価値基準に照らせば、荷室容量が10%ばかり小さくても、ハンドリングの冴えとパフォーマンスの優位性を備えたクルマのほうを高く評価するのが常だ。

最新の中型PHEVの常道どおり、EV走行での航続距離は短く、現実的な数字は40km程度だ。1.4Lエンジンの経済性も突出していいというわけではないので、頻繁に充電できる環境がない、もしくは税制優遇のメリットを重視しないのであれば、購入はエンジン単体モデル優先で検討してもいいだろう。

とくに長距離走行を重視するなら、ディーゼルは見逃せない。66Lの燃料タンクを満タンにすれば、ツーリングでの航続距離はだいたい1450kmほどに達する。

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