ブランドファンにも響くBEV スバル・ソルテラへ英国試乗 次世代も生活四駆 航続465km

公開 : 2022.11.11 08:25

スバルの新時代を切り開く、BEVのソルテラ。ブランドらしい実用性やオフロード性能などを、英国編集部は評価します。

トヨタと共同開発されたソルテラ

トヨタbZ4Xスバル・ソルテラは、ロゴマークを張り替えただけのOEMモデルではなく、共同開発という関係にある。ただしシルエットはほぼ同じで、実用的なサイズのクロスオーバーであることに変わりはない。

全長は4690mmあり、日産アリアフォルクスワーゲンID.4ヒョンデアイオニック5といった、近年各ブランドが投入している主力のバッテリーEV(BEV)とライバル関係に当たる。ここには強敵、テスラモデルYも含まれる。

スバル・ソルテラ(欧州仕様)
スバル・ソルテラ(欧州仕様)

トヨタにとってのbZ4Xと同様に、ソルテラはスバルにとって初めてとなる量産BEVだ。共同開発ということで多くが近似している2台だが、幾つかの点で明確な差別化も図られている。

その1つが駆動方式。bZ4Xではシングルモーターの前輪駆動と、ツインモーターの四輪駆動が選べるのに対し、英国へ導入されるソルテラへ設定されるのは後者のみ。制御ソフトウエアも異なり、常に四輪駆動状態が保たれるという。日本では前輪駆動も選べるが。

見た目では、写真の通り前後のスタイリングが異なる。スバルの方が抑揚は僅かに強い。トヨタの顔と、どちらがお好みだろうか。

シャシー・チューニングも違っており、bZ4Xと比べてサスペンションは少し引き締められ、パワーステアリングは若干重みが増しているという。またドライブモードにはパワー・モードが追加され、回生ブレーキの強さを選べるパドルも備わる。

普段使いの安心感を重視した四輪駆動

制御ソフトが異なるとはいえ、主要なハードウエアは共通。四輪駆動版のbZ4Xと同じく、前後の駆動用モーター合計で218psと34.3kg-mを発揮する。駆動用バッテリーの容量は71.4kWhあり、最速150kWでの急速充電に対応している。

不必要な場面では前輪駆動になるbZ4Xとは異なり、常時四輪駆動となるソルテラの場合、電費効率は若干落ちる。カタログ値では6.2km/kWhがうたわれ、航続距離は465kmだ。

スバル・ソルテラ(欧州仕様)
スバル・ソルテラ(欧州仕様)

今回、欧州仕様の試乗場所として設定されたのは、最初にオフロードコースだった。スバルがソルテラで想定する、モデルのポジショニングを示すものだといえる。

従来のスバル車とも同様だ。日常生活で遭遇するであろう、最悪の状況にも対応できる安全性を備えた、冒険も楽しめるクロスオーバー。普段使いでの安心感が重視されている。

その走りは楽しくもあり、感動すら覚えるものだった。渡河性能は500mmで、大雨で道路が冠水しても心強い。Xモードと呼ばれる、トラクション・コントロールとヒルディセント・コントロールが統合されたドライブモードは、雪道や泥濘んだ場所にも対応する。

グリップ・コントロールという名の、オフロード用クルーズコントロールも装備している。一度設定すればドライバーの過度な気付かいなしに、手強い路面をソルテラが克服してくれる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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