BMW5シリーズ 詳細データテスト 強心臓と洗練されたサスペンションを兼備 車体は大きくなりすぎ

公開 : 2024.04.13 20:25  更新 : 2024.04.20 04:54

内装 ★★★★★★★☆☆☆

インテリアについては、現行7シリーズが好みなら、新型5シリーズも気にいるだろう。逆もまた真なり、だが、いずれにせよ23年前にiドライブが導入されて以来、もっとも重大な変化がもたらされた世代であることは否定できない。

そう、高画質の大型ディスプレイは、最近のBMWのトレンドに沿ったものだが、加えてタッチ画面に依存する操作系をいよいよ採用したのだ。インフォテインメント系がドライバー方向へ傾けられているほかに、先代までとの共通点を見出せるのはセンタートンネル上のiドライブコントローラーくらいだ。ビジュアル的なインパクトを求めるなら、オプションのクラフテッドクラリティを選べば、カットガラスのダイヤルにすることもできる。

デジタル化が進むいっぽうで、iドライブのダイヤルや実体スイッチも程よく残された。マテリアルの質感は、先代に見劣りするところもある。
デジタル化が進むいっぽうで、iドライブのダイヤルや実体スイッチも程よく残された。マテリアルの質感は、先代に見劣りするところもある。    MAX EDLESTON

ダッシュボードには帯状のバックライト付きプラスティック部品が据え付けられ、ドアトリムにまで続くが、これは7シリーズに似た処理。目を引き、カラー調整によって夜間の雰囲気もいい感じに演出してくれる。しかし直射日光の下で見ると、ドアロックから送風、ヘッドライトまで、操作系の指紋が目障りだ。反応の速さも十分とはいえない。ハザードランプを点灯させるのにも1秒くらいかかるくらいだ。もっとも、その手の不満はBMWに限ったことではないのだが。

一般的な操作系のデジタル化についていえば、5シリーズはありがたいことにほかほどやりすぎていない。ドアミラーや音量、シフトセレクターなどは実体スイッチだ。とはいえ、エアコンはほぼ全部デジタルで、使いやすいショートカットがiドライブのダイヤル周辺に残されているものの、パッと見で押すのは難しい。テスター陣も全員が、操作するには路面から目を離す時間が好ましくないくらい長くなってしまった。

もうひとつ気になったのは、組み付け品質が高いままなのに、マテリアルの質感が以前ほどではないことだ。グロスブラックのパーツが多すぎ、味気ないプラスティックもそこそこ使われている。

もっとも、運転環境のエルゴノミクスは良好だ。ヒップポイントはちょっと高いが、足首から着座位置、手元までの位置関係はみごとだ。ステアリングコラムとシートの調整幅は20mm拡大された。キャビンは、中型セダンとしては広大だ。フロントは7シリーズ並みのエルボールームがあり、小物類の収納はエクセレント。とはいえ、このボディサイズなら、後席レッグルームと荷室容量はもう少し大きくできたのではないだろうか。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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