ジープ・アベンジャー 詳細データテスト 低重心ゆえの良好な操縦性 日常的な乗り心地には注文あり

公開 : 2024.05.18 20:25

走り ★★★★★★☆☆☆☆

瞬間的に発する26.5kg-mのトルクと効率重視のグッドイヤー製タイヤの組み合わせは、トラクションに問題を起こしやすいはずで、湿った路面ならなおさらだ。ところがアベンジャーは、そういう事態に陥らない。モーターだけでなく、駆動用バッテリーもトラクションを増す要素となっているからだ。

ハンドリング面で車両重量の影響をうまく隠していることは後述するが、直線加速に関していえば、バッテリーの重さの影響は明らかだ。スロットルレスポンス自体は良好で、デフォルトの走行モードでも十分にダイレクト。スポーツモードを選べばよりハードでシャープになるが、その後の進み方はステディで、0−97km/h加速は8.3秒だった。

トラクションが破綻するようなことはない代わりに、爆発的な加速を発揮することもない。回生ブレーキのセッティングは上々だ。
トラクションが破綻するようなことはない代わりに、爆発的な加速を発揮することもない。回生ブレーキのセッティングは上々だ。

7.1秒のMG 4EVや5.6秒のスマート#1には及ばないが、それらライバルは重量も大きい代わりにもっとパワフル。しかも、同等の装備で比較した場合、価格で上回ることがない。MGなら明らかに安い。寒いテストコンディションが悪影響を与えたとすれば、アベンジャーはもっと速くてもいいはずだが、0−100km/hの公称値は9.0秒だ。

もっと楽に追い越し加速をしたいというなら、いまのところアベンジャーは適切な選択肢ではない。前後モーター仕様が追加されれば、話は違ってくるのだろうが。

ブレーキは、バネっぽいペダルフィールの悪影響が多少あるが、プレミアム性が低いブランドのEVには珍しくない傾向だ。少なくとも回生ブレーキのモードはうまく調整されていて、走行モードの選択ボタンにはBの文字が記されている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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