ジープ・アベンジャー 詳細データテスト 低重心ゆえの良好な操縦性 日常的な乗り心地には注文あり

公開 : 2024.05.18 20:25

快適性/静粛性 ★★★★★★★☆☆☆

シートはランバーサポートの調整機構が備わらず、サイドサポートもなくてややフラットだが、ドライビングポジションに誤ったところはほぼない。この点では、もっと悪い競合車は多い。すくなくともスマートはそうだ。もっとも、クプラボーンのほうが間違いなく上だし、それに次ぐのはMG 4だが。それらのほうが寝かせ気味の姿勢で、長距離移動に向いている。

にもかかわらず、乗り心地に関しては、スムースな道をほぼストレスなく走る。上下方向のコントロールに、ショートホイールベースで背の高いクルマにありがちなギクシャクしたところはなく、コーナーでダルいロールが出ることもない。

乗り心地は、路面が穏やかなら安定していてストレスがないのだが、英国の荒れた路面を低速で走っていると破綻しやすい。鋭い入力を十分に吸収できていない感じだ。
乗り心地は、路面が穏やかなら安定していてストレスがないのだが、英国の荒れた路面を低速で走っていると破綻しやすい。鋭い入力を十分に吸収できていない感じだ。

平坦でない道ではヘッドトスが多少出るが、たいていの場合そんな問題はない。コンパクトクロスオーバーなら、やむを得ないという程度だ。

だから、穏やかな道をほどほどのペースで走っていれば、アベンジャーはとても付き合いやすいクルマだ。問題が起きるのは、速度も舗装状態も落ちた場合なのだが、英国ではそういうケースが多い。サスペンションへの短く鋭いインプットを吸収しあぐねるのだが、とくにリアはその傾向が顕著だ。乗り心地のクオリティは明らかに破綻しやすく感じる場合がみられるが、これは舗装のいいところでの安定を求めた代償に思える。

静粛性に関しては平均レベル。特別うるさくも静かでもないが、おそらくは角張ったボディが発する風切り音も思いのほか大きくないのだろう。騒音計によれば、すべての速度域でスマート#1よりわずかにノイズが大きいが、より大型で高価なホンダe:Ny1よりはだいぶ静かだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事