ジープ・アベンジャー 詳細データテスト 低重心ゆえの良好な操縦性 日常的な乗り心地には注文あり

公開 : 2024.05.18 20:25

意匠と技術 ★★★★★★★☆☆☆

欧州ジープのデザイン部門長であるダニエレ・カロナチは、ブランドのDNAを全長4mほどのクルマに詰め込んだ。シルやバンパーを幅広いクラッディングで飾ったのも、前後スキッドプレートをシルバー塗装ではなくアルミパーツとしたのもそのためだ。

また、アベンジャーの最低地上高はクラス最大級だ。200mmというのは、軽カーながら本格クロカンと認知されるスズキジムニーより10mm少ないのみ。ただし、駆動方式は前輪駆動だ。

18インチを履くのは、最上位グレードのサミットのみ。SUVらしいクラッディングを備えるホイールアーチへの収まりがよく、上々の見栄えだ。
18インチを履くのは、最上位グレードのサミットのみ。SUVらしいクラッディングを備えるホイールアーチへの収まりがよく、上々の見栄えだ。

生産はステランティスのポーランド・ティヒ工場で、新型モジュラープラットフォームのe-CMP2をベースとしたはじめてのモデルとなる。現在ではシトロエンe-C4やDS3クロスバックE-テンス、ヴォグゾールオペルの電動版コルサモッカにも採用され、プジョーのe-208とe-2008もその仲間に加わった。

新型プラットフォーム採用の利点としては、オーバーハングが短く四輪が踏ん張った塊感のある外観を、衝突時の衝撃吸収性能を損なわずに実現したことが挙げられる。ホイールトラベルも改善され、タイヤ幅のキャパシティも広がった。テスト車は最上位機種のサミットで、スクエアなアーチには見栄えのいい18インチホイールと215幅のタイヤが収まる。

サスペンションはパッシブで、フロントがマクファーソンストラット、リアがトーションビーム。ステランティスのこの手のモデルでは、典型的な設定だ。

フロントに積む他励同期式モーターは、このクルマで初導入された。ステランティスと日本のニデックとの合弁であるeモーターの処女作だ。従来方式より高効率とされ、156psと26.5kg-mを発生する。

このサイズのクルマとしては十分な動力性能だと言えるが、54.0kWhの駆動用バッテリーのわりには重いウェイトを考えるとインパクトは足りない。テスト車の実測値は1601kgで、重すぎるわけでなく、重心は低めだが、1.2Lガソリンモデルの1182kgより車両重量はかなりかさむ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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