ルノー・セニック 詳細データテスト 及第点の走り 長い航続距離 乗り心地や質感は今後の向上に期待

公開 : 2024.07.06 20:25

意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆

セニックE-テックのベースは、モジュラー構造のCMF-EVで、より小型のメガーヌE-テックや、同等サイズの日産アリアと共通だ。メガーヌよりホイールベースが100mm延長され、全高は70mmほどアップした、拡大版と言ってもいいだろう。

とはいえ、さほど大きなクルマではない。ルーフはフォルクスワーゲンID3より低く、全長はこのセグメントでは最短だ。市街地中心に使うユーザーには魅力的だ。

充電ポートはフロントフェンダーに設置され、駆動系はフロントに搭載。配線を無駄に増やさないことで、重量増加を防いでいる。
充電ポートはフロントフェンダーに設置され、駆動系はフロントに搭載。配線を無駄に増やさないことで、重量増加を防いでいる。    JOHN BRADSHAW/MAX EDLESTON

駆動用バッテリーはニッケル・マンガン・コバルト・リチウムイオンで、キャビンの床下に設置。CMF-EVは前後モーターの4WDにも対応可能だが、ルノーのE-テックは今のところFFレイアウトのみで、効率や実用性を重視している。

リアモーターを諦めたことで、荷室を広く取れるとルノーでは説明している。また、充電装置をほぼすべてフロントに集中させ、配線を少なくすることで軽量化が図られている。

発売時点では、2種類のバッテリーが用意されている。エントリークラスは60kWhで、WLTP値の航続距離が418km。今回テストするロングレンジ仕様は87kWhで、公称610kmとされている。これはテスラモデルYの533kmを凌ぐ、クラストップレベルの数字だ。

違いはバッテリー容量だけではない。60kWh仕様は170psで、充電性能は最大130kW、87kWh仕様は218ps・150kWだ。ただし、最大トルクは共通で、車両重量はエントリーモデルが1757kgと96kgも軽いので、0-100km/h加速タイムの差は87kWh仕様が0.5秒早いのみだ。

外観は目を引くが、彫りの深い顔立ちはちょっとプジョーっぽいというテスターもいた。その意見はルノーを喜ばせるものではないだろうが、欠点というわけではない。いっぽうでシャープなリアビューは、ランボルギーニを思わせるところがある。

このデザインテイストは、ホイールにも適用される。最小サイズは19インチ、中級グレードのエスプリ・アルピーヌや最上位のアイコニックでは2トーンの20インチで、どれをとっても非常にスマートだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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