ボルボC40 詳細データテスト 強力な加速 物足りない静粛性と質感 望まれるエネルギー効率の改善

公開 : 2022.04.24 11:25  更新 : 2022.04.26 06:26

ボルボ初のEV専用モデル、C40は、ボルボを乗り継いできたユーザーが違和感なく乗れるEVに仕上がっています。しかし、高価格なプレミアムモデルとしては、静粛性や内装の質感、そして航続距離に物足りなさもありました。

はじめに

電動のボルボという話になったとき、最初に思い浮かぶのはボルボ車ではなく、ポールスター2だ。結局のところ、そのふたつのブランドはきわめて密接な関係にあるのだ。そもそもポールスター2は、もともとボルボとして世に送り出される予定だった。それが、EV専業ブランドとしてポールスターを立ち上げたことで、PHEVクーペのポールスター1に続くモデルへと変更されたのだ。

ポールスター2のルックスはかなりボルボチックで、フィールもやはりそうだが、将来的にはもっとはっきり違うアイデンティティを打ち出すことが計画されている。そのいっぽうで、ボルボ自体が電動化を強めく進めていて、これまでマイルドとプラグイン、2タイプのハイブリッドのラインナップを拡充させてきている。しかし、EVのビッグウェーブはまだ来ていない。

テスト車:ボルボC40リチャージ・ツイン・アルティメット
テスト車:ボルボC40リチャージ・ツイン・アルティメット    LUC LACEY

このスウェーデンのブランドは、XC40リチャージでEV市場に足を踏み入れた。そして、ボルボが史上初のEV専用設計モデルと呼ぶ、今回のC40を投入した。

たしかに、C40にはEV仕様しかない。それは事実だ。しかし、専用設計というのはおおげさなところもある。というのも、突き詰めればこのクルマは、XC40のクーペ風バージョンであり、その要素はXC40のマイナーチェンジ版にも盛り込まれるのだから。

今後の電動ボルボは、もっと攻めたものになるだろう。ピュアEVとハイブリッドモデルのデザインは差別化が図られ、アルファベットと数字を組み合わせた車名は廃して、より各車の独自性を打ち出したネーミングがされる見込みだ。つまりC40は、その過渡期にあるクルマであり、しかし意義深いモデルでもある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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