フォルクスワーゲン・マルチバン 詳細データテスト サイズのわりにいい走り 広いが反響音が気になる

公開 : 2023.03.18 20:25  更新 : 2023.04.04 01:05

走り ★★★★★★★★☆☆

動力性能を語るようなクルマではないが、PHEVのマルチバンはなかなかに元気だ。加速テストでは、0−97km/hで8.4秒という悪くないタイムを出した。引越し用に借りたバンで坂道を走り、トレーラーにあおられた経験の持ち主も、このマルチバンなら安心して運転できるだろう。

おおむね静かでもある。電力で低速走行しているときは言うまでもない。走り出しはそれがデフォルトだ。これもまた使い方次第なのだが、それはPHEVが一般的に、さまざまな計算の上に成り立っているから。ハイブリッドモードを選んだり、充電が切れたりすればエンジンがかかる。目的地周辺でゼロエミッション走行するために、電力を温存したいときもそうだ。

動力性能も制動性能も、2.2tを超えるバンとしては上々。しかし、パドルシフトを使っても走りが目に見えて高まるわけではないし、減速の仕方は一貫性に欠ける。
動力性能も制動性能も、2.2tを超えるバンとしては上々。しかし、パドルシフトを使っても走りが目に見えて高まるわけではないし、減速の仕方は一貫性に欠ける。    LUC LACEY

いずれの場合も、Dレンジに入れて走り出しても、変速はほとんど感じられない。低負荷時にはエンジンがかかったり止まったりする。負荷が増すと、エンジンがかかるのが体感できる。とくにうるさいわけではないものの音量が増し、加速力が強くなるからだ。

シフトパドルで手動変速をしたくなるところだが、あまりその価値はない。DレンジかSレンジでシフトダウンすると、低いギアをホールドすることも、選択したギアのままキックダウンせずに、レブリミッターに当たるまで回転を上げてキープすることもできる。しかし、目新しいだけで、現実的に役立つということはない。

制動力は、公称2243kgもある大きなクルマとしてはなかなかのものだ。しかし、ブレーキの調整には奇妙なところがある。スロットルを抜くと、速度の下がり方は制限速度やコンディション次第だが、コースティングするときもあれば、はっきり減速するときもあるので、必要以上にどうブレーキを効かそうか考えさせられる。

危険を覚えることはまったくないのだが、一貫していないので、ストレスに感じるかもしれない。なお、牽引重量のリミットは2000kgだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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