トヨタのサイオン(2003年)

トヨタが2003年にサイオン(Scion)というブランドを立ち上げたのは、信頼性が高く意外性のないクルマを作るという評判が、米国の若い購買層には響かなかったからだ。サイオンから販売されたクルマは、少なくともデザイン面では退屈なものではない。そのラインナップには、tCという衝撃的な価格のクーペや、xB(写真)というトースターのような形のハッチバックがあり、模倣するライバルも生まれた。

サイオンは米国で好調な滑り出しを見せたが、2010年代に入ってからは調子を崩した。市場調査によると、サイオンを購入した若いドライバーは、年齢が上がってもトヨタやレクサスを購入しないことが多いことがわかった。さらに悪いことに、サイオンの平均購買年齢は2004年の35歳から2011年には43歳まで上昇。経済的な理由から、中高年の購買層は安価で無難なクルマを求めるようになり、サイオンがショールームに誘い込んだ若い購買層は中古車を求めたからである。

トヨタのサイオン(2003年)
トヨタのサイオン(2003年)

トヨタは2016年モデルを最後にサイオンを閉鎖した。FR-SやiAのようにトヨタのラインナップに組み込まれた車種もあれば、引退した車種もある。

ルノーのトランクシュート(2004年)

ルノーは、家族と荷物を載せて街中を移動できる万能車としてモデュスを賞賛した。このモデュスで最も注目された機能の1つがトランクシュートで、これは基本的に、初代ミニのような下ヒンジ式のトランクリッドを組み込んだものだった。狭い場所に駐車していても、トランクに収まる「わずか」な荷物を取り出すために、最大52度まで開くことができた。

モデュスの上級グレードには標準装備され、その他のグレードではオプションだった。結局のところ、トランクシュートは2008年の改良新型に引き継げかれるほどの価値は見出されなかった。横目で見守っていたライバルたちは、このような実験を行わないと決めた。

ルノーのトランクシュート(2004年)
ルノーのトランクシュート(2004年)

プジョー1007(2005年)

プジョーが2005年に1007を発表したとき、「作ればイケる」と思ったに違いない。206との共通点も多いが、狭い場所に駐車していても乗降できる電動スライドドアによってライバル車とは一線を画していた。しかし、ドアを開けるのに時間がかかりすぎる、後部座席にアクセスしにくいといった不満がユーザーから寄せられた。その結果、販売台数は予想を下回り、1007は後継車がないまま2009年に引退した。

プジョー1007(2005年)
プジョー1007(2005年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    ロナン・グロン

    Ronan Glon

  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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