ミニ・エースマン 詳細データテスト ミニらしい走り やや狭い室内 カントリーマンよりクーパー寄り

公開 : 2025.01.25 20:25

走り ★★★★★★★☆☆☆

ミニ・サウンドと銘打った走行音は、ミニ・コネクテッドへのサインアップをするに足る理由のひとつだ。デフォルトではオンになっているが、おそらく好き嫌いがはっきりわかれる。少なくともスロットル開度に合わせて大きくなったり小さくなったするのは耳障りではないので、鳴りっぱなしにはされていない。

クラス水準に対し、パフォーマンスはだいぶ強力だが、この価格でエースマンSEが際立ったEVだといえるほどかどうかは疑問が残る。非常に寒い日のすべりやすい路面コンディションでは、7秒を切るのは0-97km/hでがやっとで、0-100km/hでは叶わなかった。

加速タイムは、路面コンディションがよければ0.1〜0.2秒は削れたはず。ブレーキは強力だが、回生を調整するパドルがあればなおよかった。
加速タイムは、路面コンディションがよければ0.1〜0.2秒は削れたはず。ブレーキは強力だが、回生を調整するパドルがあればなおよかった。    JACK HARRISON

4万ポンド(約772万円)以下の電動コンパクトSUVだと、平均は8秒近いはずだが、これまでのテスト車には6秒以下で97km/hに達するものもあった。もっとパワフルなJCWがあるとはいえ、今回のエースマンはクラス最速とはいかなかった。ゼロ発進からほぼフルパワーが出るので、コンディションがよければ少なくともコンマ1〜2秒削れると予想される。

EVなので、ドライバビリティはいたってシンプル。ただし、回生のコントロールはタッチ画面のメニューを掘り起こさないと出てこない。空いた道でコースティングして勢いを殺さず走るには、アダプティブモードを選ぶしかないが、前方の交通状況によって突如として効き具合が変わるので、変な感覚になることもある。

また、使いたいときにすぐ呼び出せるほど、アクセスしやすいものではない。他メーカーでの採用が増えている回生調整用のパドルを、BMWやミニも早く導入してほしい。

トラクションは、ドライコンディションなら問題ないが、すべりやすい路面では不足している。ESCに頼るところが大きいが、制御は穏やかで、うまくできている。走りの気質は確実で安楽なものではないが、やんちゃな感じや、コントロールされた熱意というのは、個性の一環となっている。

ブレーキは強力で、ペダルフィールはじつに一貫していて、耐フェード性も高い。テストコースをハイペースで5周走ったが、以前のミニ・エレクトリックでは問題になったパワートレインの熱ダレも見られなかった。充電が残り10%を切ると、わずかながらパフォーマンスが低下し、それ以下ではバッテリーの減りにつれて先細っていったが、非難されるほどのことではなく、ドライバーにはその旨の警告があらかじめ出る。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事