ロータス・エミーラ 詳細データテスト 古き佳きロータスの魅力健在 高い質感と実用性 ネックは価格

公開 : 2025.04.19 20:25  更新 : 2025.04.19 22:35

結論 ★★★★★★★★★☆

ロータスは、エミーラを自社の歴史における新たなステップだとプレゼンしたがるが、実際にはエヴォーラの完全版とでも言ったものだ。ルックスが良くなり、乗り降りしやすくなり、ポルシェに匹敵するクオリティとテクノロジーを得た。

もっとも、2009年にわれわれが満点をつけたクルマが改善されたというのは、言い換えるなら非常に魅力的だということである。比類ないほど英国の道路に適合し、オールドスクールな楽しさと最新レベルの使いやすさがもののみごとに共存している。

結論:生き生きとして、じつによくできたブリティッシュ・スポーツカー。ただし、値は張る。
結論:生き生きとして、じつによくできたブリティッシュ・スポーツカー。ただし、値は張る。    MAX EDLESTON

では、このクラスの最高峰に君臨するポルシェ718ケイマンGTS4.0に肩を並べたのか、というと、かなり近づいた、というのがわれわれの見解だ。ポルシェのほうが、もう少しだけバーサタイルで、乗り手の技量を選ばない。装備や価格を同等に揃えたとしたら、あとは優劣より好みで選ぶことになる。

ハンデキャップがあるとすれば、ファーストエディション登場時より上がった価格だ。それでも、エミーラほど楽しくて実用性も備えたスポーツカーは、新車市場にそう多くは存在しない。

担当テスターのアドバイス

イリヤ・バプラート

競合モデルと違って、エミーラにはアダプティブダンパーがない。たいていの場合、ほしいとは思わないが、もしそれがあれば、ツアーとスポーツのいずれかに偏らないセッティングを得られて、たまにサーキットを走るようなユーザーも満足させられるのではないだろうか。

マット・ソーンダース

ロータスはエヴォーラからギアレシオを変えていないが、その選択が最適とは思えない。2速で制限速度を超えないほうがいいだろうし、6速は高速道路ではハイギアすぎる。

改善してほしいポイント

・ツーリングシャシーは、遮音と乗り心地の洗練度をもうちょっとだけ高めてほしい。
・計器類は、視認性の改善を。
・細かいバグの修正を。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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