操舵/安定性　★★★★★★★★★★

新たなロータスは、ある意味オールドスクールなクルマでもあり、運動性についてはどちらの点から見ても失望を覚えることはない。価格帯は違うが、英国を代表するもうひとつのスポーツカーブランドが送り出す、タブ構造と油圧パワーステアリングを備えたミドシップモデルとの類似点が見られた。

最近のマクラーレンのように、エミーラはゴツゴツした路面を、あまり類のないほど気安く、軽やかにこなしていく。まさにクラシックなロータスのアプローチで、曲がりくねったB級道路でじつになめらかな走りを見せる。バネ上は動きがあるのだが、厄介なものではなく、手に負えなくなるようなことは決してない。

その上ステアリングは、スポーティなモデルにありがちな不自然にクイックで重いラックとは無縁なのがうれしい。ロックトゥロックは2.8回転あり、比較的軽い。それでいて、前輪荷重がどれくらいかかっているか、手に取るようにわかる。

その点については、マクラーレンとは異なる。あちらはもっと神経質で、低速ではよりインタラクティブで、セルフセンタリングははるかに強い。

その代わりに、ほぼどんなクルマよりもブレない軌道を描く。そのため、ポルシェの電動機械式ステアリングのようにみごとだ。718ケイマンだと、インタラクションは90％くらいだが、そこに変質はない。

テスト時の気温はひと桁台だったが、これはロータス専用グッドイヤーに都合の良いコンディションではなかった。グリップが不足して、トラクション／スタビリティコントロールをオンにしていても制御が追いつかないこともあった。それでも、わかりやすいステアリングのおかげで、路面状況や、トラクションの加減を知ることができる。トラクションが低下するとしても突然抜けるのではなく、徐々に減っていく。

画像　写真で見るロータス・エミーラとライバル　全7枚