ロータス・エミーラ 詳細データテスト 古き佳きロータスの魅力健在 高い質感と実用性 ネックは価格

公開 : 2025.04.19 20:25  更新 : 2025.04.19 22:35

内装 ★★★★★★★★★☆

エミーラの登場時、誰もがまず気づいたのは、インテリアのクオリティがエヴォーラから飛躍的に向上したことだった。まず、乗り込むときにわかる。エリーゼのシリーズ2以降、ロータスはサイドシルを低く、幅を狭くしてきたが、アルミシャシーの合成の要となる部分だけに、容易なことではない。ところがエミーラはついに、ポルシェケイマン並みの乗降製を実現した。

デザインはそれほど特徴的ではないが、控えめにエレガントで、彩りの良いレザーとリアルな金属パーツがマテリアルのリッチさをもたらしている。他車からの流用パーツもわずかにあるが、厳選されている。コラムレバーはボルボの旧型だが、これはかなり良い選択だ。

個性的なデザインではないが、上質な仕立てで実用性も高い。タッチ式ディスプレイでの操作項目は、過不足ないというところだ。
個性的なデザインではないが、上質な仕立てで実用性も高い。タッチ式ディスプレイでの操作項目は、過不足ないというところだ。    MAX EDLESTON

ロータスのような小規模メーカーにとって、大規模OEMを技術で凌ごうとすることには、判断を誤る危険が伴う。ロータスはエミーラで、程よい落としどころを見出した。センターディスプレイは必要十分で、キャビンを無駄に占領していない。

ソフトウェアはほかのクルマとシェアしていないが、幸運にもエンジニアたちは、このディスプレイになにが必要かよくわかっていた。携帯電話の接続性、基本的なナビゲーションとラジオ、セッティングのアジャストがいくつか。インターフェースはシンプルでわかりやすく、ショートカットも十分にあり、操作しやすい。入力への反応に多少遅れがあるものの、痛快なほど目的にあった設計だ。

実用性は、ミドシップスポーツカーとしては驚くほど高い。重要な装備のほとんどは実体スイッチで操作でき、小物入れにも事欠かない。ドアポケットやグローブボックス、アームレスト収納はどれも大きく、シートの背後にはバッグをふたつくらい置けるシェルフがある。ただし、荷物が転がり落ちやすいので、トレーや固定用のベルトかネットなどはあったほうが便利だろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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