超ディープな自動車博物館 シュタイア・プフ 深い歴史を学べる展示車両 19選

公開 : 2025.09.13 11:45

シュタイア・プフ・ハフリンガー(1959年)

「オーストリアのジープ」とも呼ばれるシュタイア・プフ・ハフリンガーは、主に第二次大戦後に使用されていた旧式のウィリス・ジープに代わる軍用車両として開発された。ジープが優れたオフロード性能を持つ一方、ハフリンガーは山岳地帯に特化して設計された。高いアプローチ角とデパーチャー角により、未舗装路でもスタックせずに走行できた。

小型軽量なハフリンガーは、643cc水平対向2気筒エンジンをリアに搭載する四輪駆動方式を採用していた。この構造は、後にフォルクスワーゲンT3に採用されるシンクロ機構の基盤となった。ハフリンガーは軍用車として人気を博したが、シュタイア・プフは民生用モデルも生産し、クローズドキャブ仕様も存在する。写真の1969年式の個体は消防車両として使用されていたものだ。

シュタイア・プフ・ハフリンガー(1959年)
シュタイア・プフ・ハフリンガー(1959年)

プフ・ロードスターSプロトタイプ(1959年)

シュタイア・プフはイタリアのコーチビルダー、ヴィニャーレに協力を求め、小型スポーツコンバーチブルとしてロードスターSの試作車の設計を依頼した。ボディは紛れもなくイタリアンスタイルだが、その下にはオーストリア製の機械部品が隠れている。

当時のシュタイア・プフにはスポーツカーに適したエンジンがなかったため、500から流用した空冷水平対向2気筒エンジンを2基組み合わせ、985ccの水平対向4気筒エンジンを開発した。このエンジンは最高出力45psを発生したが、後の試作車では56psの1.3Lエンジンが採用された。ドラムブレーキはハフリンガーから流用された。

プフ・ロードスターSプロトタイプ(1959年)
プフ・ロードスターSプロトタイプ(1959年)

しかし、結局のところ、ロードスターSは量産化には至らなかった。

シュタイア・プフ650 TR(1964年)

アバルト同様、シュタイア・プフもフィアット500を高性能車に改造できると自負していた。もっと言えば、改造すべきだと確信していた。そこで、500をベースに複数の高性能バージョンを開発し、レースに投入した。1964年に発売された650 TRは、660ccの水平対向2気筒エンジンから最高出力27psを引き出した。翌年に登場した650 TR IIは、最強仕様で41psを発揮した。

TRモデルは1960年代にモンテカルロ・ラリーに出場したが、優勝は果たせなかった。写真の車両は1965年に17位でフィニッシュしている。

シュタイア・プフ650 TR(1964年)
シュタイア・プフ650 TR(1964年)

プフ230Gプロトタイプ(1978年)

シュタイア・プフはメルセデス・ベンツGクラスの開発を支援した。プロジェクトは1972年、シンプルな設計要件で始まった。ランドローバーのようなオフロード車で、アルプスを難なく走破しながら、十分な車内快適性とメルセデスが誇る高い信頼性を兼ね備えるというものだった。

両社はこの提携をウィンウィンと見なした。シュタイアはハフリンガーの後継車が必要だった(そのため開発中のコードネームはハフリンガー2、あるいはH2だった)し、メルセデスはウニモグよりも洗練された4WD車を欲していた。初期段階から両社は、製造と修理が容易であること、少なくとも10年は時代遅れに見えないデザインにするという点で合意していた。しかし、Gクラスが40年近くも生き残り、最終的には最高出力600ps超のV12エンジンを搭載し、ロサンゼルスのセレブ層に愛される乗り物になるとは予想もしていなかった。

プフ230Gプロトタイプ(1978年)
プフ230Gプロトタイプ(1978年)

シュタイアは1979年、グラーツでこのGの生産を開始した。メルセデスのスリーポインテッドスターのエンブレムを掲げていることが多かったが、オーストリア、スイス、および一部の東欧諸国ではプフとして販売された。写真に写っているのは、9台目に作られたプロトタイプだ。4ドアのソフトトップ仕様で、一般には販売されなかった形態である。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ロナン・グロン

    Ronan Glon

  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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