AUTOCARロードテスト90周年(7) 乗り心地と操舵 最大の革新分野

公開 : 2018.12.22 10:40

ここ90年間の間にもっとも大きな変化があった分野ともいえる、乗り心地とハンドリングの進歩の過程をたどります。ミドシップや4WDなどの駆動方式の進歩に加え、タイヤ性能の向上なども大きな役割を果たしているようです。

もくじ

最も大きく進化した領域
ミドシップの採用が転機に
タイヤの能力不足
極太タイヤの一般化 4WDの登場
今後は空力の進化に注目
ニュルブルクリンク ラップタイムの推移

最も大きく進化した領域

90年間でもっとも進歩した領域が、おそらくこの分野だろう。また理由もわかりやすい。19世紀後半の時点で内燃機関はまだよちよち歩きといったところだったが、1928年時点ですでにほとんどのクルマが採用していた板ばねとはしご形フレームは、さかのぼること18世紀中盤の馬車と基本思想にほとんど変わりはなかったのだ。

おまけにシャシー設計技術もまだ未熟だった。1930年代半ばにメルセデス・ベンツのレースチームが当時最先端のGPカーW25のシャシーを検証したときも、主に弾性体の役割をになっていたのが実はサスペンションではなくシャシーのねじれだったことに気づいて衝撃を受けたほどだ。

現代主流のモノコックボディと同じ車体構造をもったクルマは第2次世界大戦以前から存在していた(1922年のランチア・ラムダが有名だ)。そしてこの点では、1930年代の時点で米国がほとんどの欧州諸国よりもはるか先を走っていた。とはいえ、軽く丈夫で空間効率にも優れたこのシャシー形式が一般的になるのは、簡素で少量生産に適したスペースフレーム方式とならんでようやく1950年代に入ってからのことだった。

時を同じくして多くのメーカーが板ばねにかわってコイルばねを使いはじめ、左右独立式のサスペンションをまずはフロントから用いるようになった。だがリアの独立懸架が広まるのは、非独立式で用いるパナールロッド・ワッツリンク・ドディオンチューブの欠点から解放したいという機運が高まるずっと後のことだった。

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