メルセデス・ベンツEQA 詳細データテスト 既存車ベースゆえの妥協 走りはほどほど 価格は高い

公開 : 2021.11.27 20:25  更新 : 2021.11.28 12:43

内装 ★★★★★★☆☆☆☆

EQAは5座クロスオーバーハッチバックとして、適度な実用性を備えている。しかし、マスタング・マッハEやスコダ・エンヤックiVに乗ったあとだと、とくに広くは感じられない。

前席は、着座位置も操作系の配置も高めだが、足回り、肘周り、頭上のいずれもゆとりがある。ドライバーズシートは快適で、乗り降りしやすい高さだ。

構成パーツのほとんどは、メルセデスの小型車に共通するもの。素材の質感は十分とはいえないが、プレミアム感を演出するには十分といえるだろう。
構成パーツのほとんどは、メルセデスの小型車に共通するもの。素材の質感は十分とはいえないが、プレミアム感を演出するには十分といえるだろう。    JOHN BRADSHAW

コントロール系も室内トリムも、メルセデスのコンパクトカーでは見慣れたものばかり。ドライバーの面前には計器盤とインフォテインメント用のディスプレイが2面並び、グロスブラックのプラスティックパネルとクロームのトリムが多用される。送風口はメルセデスの定番となった、タービン風のデザインが施されている。

高級感はかなりのものだが、けばけばしいと感じるかもしれない。その印象をとくに強くしているのが、さまざまな発光色が選べるアンビエントライトだ。しかし、マテリアルの質感は深みがなく、期待するような完全さはない。それでも、一般的なユーザーが贅沢でプレミアムだと感じるには十分だ。

タッチパネルへの依存度を高めた競合車の操作系に不満を抱いているなら、EQAに備わるエアコンの実体コントロールパネルや、センタートンネル上に独立して設置された入力デバイス、インフォテインメントのメニューを選択するショートカットボタンなどは好ましく思えるだろう。

ステアリングホイールのスポークに設置された、メーターパネルとインフォテインメントのディスプレイを操作する発射スイッチのようなデバイスは、はじめて使うとやや混乱するかもしれないが、すぐに慣れる。センターディスプレイに手を伸ばさずに済むことも多く、視線を路面から逸さずに操作できるのもありがたい。

後席は、前席よりやや物足りなく、主なライバルに後れをとっているが、小柄な大人やティーンエイジャーならば快適に過ごせるだろう。チャイルドシートの脱着は容易で、シートベルトはシートの両脇に収納スロットがあるので、シートバックを倒す際に絡まず、走行中にあちこち当たることもない。

荷室はかなりワイドだが、奥行きは中型SUVのレベルに達していない。後席使用時でトノカバーより下の容量は340Lだ。後席をすべて倒し、天井まで積み上げた場合は、エンヤックiVより400L近く少ない。しかし、それよりも不満を感じるのは、充電ケーブルの置き場が、ラゲッジルームしかないことだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。

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