【詳細データテスト】シボレー・コルベット ミドシップ化で磨いた走り 高い実用性 唯一無二の存在感

公開 : 2022.07.02 20:25

欧州を撤退したシボレーがコルベット、それも史上初の右ハンドル車を擁して再上陸。絶対性能ではクラストップの座を逃しましたが、磨かれた走りや使い勝手、スーパーカー並みの存在感と手頃な価格。代え難い魅力が満載でした。

はじめに

2013年、シボレーが欧州市場撤退を発表したとき、従業員の解雇や工場の閉鎖、GMの緩やかな欧州離脱に伴う騒動に、明るい兆しを見出したひとはほとんどいなかったはずだ。しかし、目利きのスポーツカーマニアは、明るいニュースを聞くことができた。

それが、8代目シボレー・コルベットの正規導入だ。いうまでもなく、70年の歴史を積み重ねたアメリカンスポーツの象徴だが、今回は史上初となる右ハンドル仕様を用意してきた。

テスト車:シボレー・コルベット・クーペ3LT
テスト車:シボレー・コルベット・クーペ3LT    LUC LACEY

もしシボレーが、もはや欧州市場では忘れられつつあるキャプティバやアヴェオ、オーランドといった廉価なファミリーカーを今も細々と売り続けていたとしたら、メーカー規模でのCO2排出量規制が激しくなる中で、V8エンジンを積むスポーツカーを販売することはできなかったはずだ。

ところが、欧州GMはごく小規模で営業を再開したので、エミッション規制もそれに見合った緩やかなものが適用される。それゆえ、右ハンドルで生産されたコルベットが、欧州GMによってはじめて正規導入される運びとなったのだ。

ただし、英国でこれを購入できる販売店は1軒のみ。サリー州バージニアウォーターのイアン・アラン・モータースが、唯一の正規ディーラーだ。

これは、70年の歴史の中でも類を見ないコルベットだ。長年にわたり、このアメリカが誇るスポーツカーとは切っても切り離せなかった、フロントエンジンや横置きコンポジットリーフスプリングといった要素と決別したのだから。

それでも、これはコルベットだ。比較的安価で、一体脱着式ルーフパネルを備え、なによりパワフルな大排気量の自然吸気V8を搭載している。ただし、その搭載位置はキャビンの前ではなく背後だ。

とはいえ、結局のところわれわれが知りたいのは、この未知数の要素を盛り込まれたアメリカンスポーツがなにを得たのか、そして、ライバルとなる欧州の老舗スポーツカー勢と比較してどうなのか、ということ。さらには、本当にグローバルなミドシップスポーツカーとなったことで、なにか犠牲になったものがあるのだろうか、ということだ。それを確かめていこう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事