【詳細データテスト】シボレー・コルベット ミドシップ化で磨いた走り 高い実用性 唯一無二の存在感

公開 : 2022.07.02 20:25

操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆

右ハンドル仕様であっても、英国の狭い道ではコルベットのボディの大きさは紛らせない。また、低速域では重さもたしかに感じてしまう。

ところが、このミドシップカーは速度が乗り、アダプティブダンパーに扱うべき入力が加わると、やや軽く、より落ち着いて、しかも俊敏に感じられるようになってくる。

シャシーは、路面変化へ巧みに対応する。とくにツアーモードではそれが顕著だ。ステアリングはシャープさと正確さが増し、歴代コルベットから飛躍的に改善された。
シャシーは、路面変化へ巧みに対応する。とくにツアーモードではそれが顕著だ。ステアリングはシャープさと正確さが増し、歴代コルベットから飛躍的に改善された。    LUC LACEY

たしかに、アルピーヌA110のように繊細で軽やかな走りをしそうなところはまったくなく、ロータスエミーラのようにシートや操縦系越しのインフォメーションが鮮明で、一体感を鮮烈に感じさせることもない。

しかし、よりハードな走行モードを選択し、ハイスピードで峠道などを走ると、ワクワクするほどいい感じに緻密なボディコントロールをみせてくれる。その代わり、ツアーモードではバネ上の動きが大きくなり、乗り心地を高める。妥協のないスポーツカーが見せるような路面を拾いすぎる動きを忘れさせ、滋味深い走りを味わえて、よりシンプルにコミュニケートできるようになる。

このコルベットのステアリングは、ロックトゥロック2.5回転と、とくにクイックではない。このラックのほどよくリラックスしたレスポンスのレートは、このシャシーにぴったりな感じ。切りはじめはやや速めの立ち上がりで、ハンドリングが行きたい方向へ正確に向けることをちょっと気にしすぎているように感じさせる。

おそらくはステアリングに優れた精密さを与えようという狙いなのだろうが、それはちょっと見当違いだ。それでも、すぐに慣れてしまう程度だが。

いずれにせよ、残る感覚は、これまでのコルベットを知っているひとならば抱き続けるだろうもの。なんてすてきでナチュラルなステアリングだろう、という感嘆だ。ミドシップカーゆえのより短く高剛性なコラムは、ステアリングにすばらしい正確さや歯切れのよさ、そしてフィールを生んでいる。

これは過去のモデルに比べ、飛躍的に進歩した点のひとつに数えられる。というのも、C8はかなりワイドなクルマでありながら、これまでよりずっと楽にラインをトレースできるからだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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