スバルSVX

スバルが挑んだ2ドア高級クーペは困難な状況から始まった。SVX(日本名:アルシオーネSVX)の型破りな外観とガラス張りのキャノピーはデロリアンも手掛けたジョルジェット・ジウジアーロ氏によるもので、メルセデス・ベンツなどの競合車とは大きく異なっていた。さらに特注の24バルブ3.3L水平対向エンジンは240psを発生するが、疑問符のつく4速オートマティック・トランスミッションしか選択できず、性能は制限されてしまった。

6年間で2万5000台という販売台数は、スバルが目指した数字には程遠く、高価で、それほど速くもなく、魅力的でもなかった。それでもなお、筆者はこのクルマを賞賛せずにはいられない。

スバルSVX
スバルSVX

インフィニティQX70

QX70は性能重視のSUVで、BMW X6をターゲットに設定。3.7L V6と5.0L V8を用意した。そして、全車にパドルシフト付き7速オートマティック・トランスミッションと硬めのサスペンションが採用されている。

その長く伸びたボンネット、曲線的なヘッドライト、付け足したようなサイドグリルを好む者はほとんどいなかった。しかしX6のような競合車と並べると、むしろ個性的に見え、角度によっては高級感でも勝る。まるで独自のクラスに属すべきクルマのように思える。まさにその点が筆者の心を捉えたのだ。

インフィニティQX70
インフィニティQX70

ポルシェ914

1969年のフランクフルト・モーターショーで初公開された時、このクルマは果たしてフォルクスワーゲンなのかポルシェなのか、人々は判断に迷った。ポルシェ914はドイツの二大巨頭による共同開発だったからだ。フォルクスワーゲンはカルマンギアの後継車を、ポルシェは912の後継となる新型車を望んでおり、その回答が914であった。モノコックシャシーに、フォルクスワーゲン・タイプ4由来の80psの4気筒エンジンが搭載され、車重900kg、0-100km/h加速14秒という軽快な走りを実現した。

改良型914/6には、後に911T由来の2.0L水平対向6気筒エンジンが搭載されたが、高価格化により生産台数は4000台に満たなかった。フォルクスワーゲンかポルシェかという議論はさておき、914は歴史的名車の1つであり、情熱的に運転する喜びを与えてくれる。

ポルシェ914
ポルシェ914

デロリアンDMC-12

ガルウィングドアを備えたスーパーカーのような外観だが、その造りの粗さと鈍重な性能から、競合しようとした米国車やイタリア車に大きく水をあけられた。2.8L V6エンジンの最高出力はわずか130psで、トランスミッションは5速マニュアルか鈍い3速オートマティックのどちらかしかなかった。

その欠点を忘れさせてくれるのはデザイン要素だ。ブラッシュド仕上げのステンレス鋼ボディパネル、4灯式ヘッドライト、ボディに対しやや大きすぎるタイヤ。これらは他社のどのクルマとも一線を画すものだ。ロータスチューンのしなやかなシャシーと相まって、クールなカテゴリーに堂々と位置づけられる。

デロリアンDMC-12
デロリアンDMC-12

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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