1:フェラーリF40

フェラーリF40が、筆者が運転した中で最高の市販車という地位を、一瞬だけ奪われる時が何度かあった。数年前にはラ フェラーリに、さらに何年も前にはマクラーレンF1に。だが改めて振り返れば、常に頂点に君臨しているのはF40だ。

キーを回して小さなゴム製ボタンを押す。背後から大音響が聞こえてくる。ターボエンジンの音が良くないと言う人は、ぜひF40の音を聞いてほしい。ゴロゴロとうなり、ポンポンと弾ける。アイドリング時だけでだ。見た目に驚かなくても、その音にはきっと驚くだろう。

1:フェラーリF40
1:フェラーリF40

このマシンは敬意を持って扱う必要があるが、同時に信頼も必要だ。288 GTOをはじめとする当時の他のフェラーリと同様、F40は限界域で驚くほど忠実だ。そのためコーナー出口で急にブーストがかかっても、まずシャシーがトラクションの限界点を教えてくれる。次にステアリングが後輪の動きを的確に伝えくれる。

筆者にとってF40がナンバーワンなのは、この仕事で何千台も運転してきた中で、最も思い出すことが多いからだ。最も乗り続けたいクルマであり、最も降りたくないクルマだ。スピードやグリップは付随物に過ぎない。重要なのは特別な感覚、完全に没入できる運転体験だ。エンジンの鼓動、ギアシフトの擦れるような音、呼吸、そしてボディワークのあらゆる軋み音。

そして、これがエンツォの最後のクルマであることも忘れてはならない。彼が気難しい人間だったこと、市販車にはほとんど関心がなく、ましてや運転者のことなどほとんど気にかけていなかったことも知っている。だが、そんなことはどうでもいい。

F40には彼の反抗心、既成概念への挑戦、そして会ったことはないが、彼の魂とも言えるものが宿っている。今や最速とは程遠いものの、筆者にとって今なお世界で最も胸躍るロードカーなのだ。正直、どうすれば皆さんが運転できるかは分からないが、信じてほしい。他のどのクルマよりもこの1台を渇望すべきだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アンドリュー・フランケル

    Andrew Frankel

    英国編集部シニア・エディター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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