伝説の自動車デザイナー、ガンディーニが手掛けた名作 50選(後編) 不運のスーパーカーからホットハッチまで

公開 : 2026.06.21 11:45

シトロエンBX(1982年)

長年にわたり、ガンディーニ氏は角ばったコンセプトカーをデザインしてきたが、そのどれもが量産化にはほど遠かった。いずれも保守的な自動車メーカーにとってはあまりにも過激すぎたのだ。しかし、シトロエンは例外で、このボクシーなデザインを心から受け入れた。

GSAの後継として開発されたBXは、5ドアのハッチバックとステーションワゴンの2種類があった。主な開発要件は軽量化(ベースモデルで900kg)と信頼性の高さであり、後者の特徴から「運転は好き、整備工場は嫌い」というキャッチコピーが生まれた。

シトロエンBX(1982年)
シトロエンBX(1982年)

ルノー5 Mk2(1984年)

初代5は大ヒットしたため、2代目モデルも根本的に変える必要はなく、現代的に仕上げるだけでよかった。ガンディーニ氏は、14年間で550万台を販売した初代のコンセプトを引き継ぎつつ、ミシェル・ブエ氏によるオリジナルデザインを1980年代に合わせて調整するという見事な仕事をした。

空力性能の向上、ボディシェルの強化、そしてガラス面積20%増を実現。この2代目モデルは、初代ほどの強烈なインパクトはなかったものの、それでもルノーにとっては大成功を収めた。

ルノー5 Mk2(1984年)
ルノー5 Mk2(1984年)

チゼータV16T(1988年)

1980年代後半、世界経済は絶好調だった。かつてないほどの富が溢れ、その需要に応えるべく数多くの高級車メーカーが次々と誕生した。チゼータもその1つである。当初はミュージシャンのジョルジオ・モロダー氏が出資し、伝説的な自動車エンジニア、クラウディオ・ザンポーリ氏によって設立された。

ランボルギーニの開発チームは究極のスーパーカーを目指していた。560psの出力と公称最高約328km/hを誇るV16エンジンを横置きで搭載し、性能面でもデザイン面でもあらゆるライバルを凌駕していたと言っても過言ではない。しかし、わずか20台ほどが生産されただけで、同社は解散してしまった。

チゼータV16T(1988年)
チゼータV16T(1988年)

マセラティシャマル(1989年)

1970年代、アレハンドロ・デ・トマソ氏がシトロエンからマセラティを買収した際、BMW 3シリーズに対抗するモデルによって販売台数を伸ばそうとしていた。その結果生まれたのがビトゥルボだが、信頼性が低く、高価で、見た目も平凡だった。

ビトゥルボの販売は振るわず、1980年代末にはフィアットが経営難に陥ったマセラティの株式49%を取得した。そして高級路線へ転換するため、ビトゥルボをベースに2ドアのカリフが投入され、 さらにそこから330psにパワーアップしたシャマルが登場した。しかし、またしても商業的な成功には遠く、1989年から1996年の間に生産されたシャマルはわずか369台にとどまる。

マセラティ・シャマル(1989年)
マセラティ・シャマル(1989年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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