ホンダやレクサスも参入 なぜEVで「疑似変速」が採用されるのか(後編) サーキットでの速さに関係も?

公開 : 2026.06.11 17:45

次の展開が気になるトヨタ/レクサス

一方、トヨタは物理的なシフトレバーと3ペダルを備えた疑似マニュアル・トランスミッションをレクサスで試みており、AUTOCAR UK編集部のマーク・ティショー記者は『UX 300e』でこれを体験した。

現在、レクサスの『RZ 550e』はジェントルな電動クロスオーバーであり、ステアバイワイヤ式のヨーク型ステアリングと、8速の「インタラクティブ・マニュアル・ドライブ」システムの短いシフトレバーによって、その運転体験は劇的にゲーム化されている。

レクサスRZ 550e Fスポーツ
レクサスRZ 550e Fスポーツ

レクサスの先進パワートレイン担当者は、「このアイデアは、クルマとキャッチボールをするような感覚を求めたいという思いから生まれました。(シフトの感覚がなければ)運転のやりがいが薄れることに気づいたのです。あえてギクシャクした動きにし、本来なら静かなはずの場面に音を加えました。操作には一定のスキルが求められますが、成功もミスも、すべてフィードバックとして返ってきます」と語っている。

重要な「何か」の第一歩

レクサスのシステムには完全なオートモードがない。つまり、5速のまま街中を重々しく走ることがないよう、常に現在のギア比に意識を向けなければならない。しかし、適切な道路で、気分が乗っていれば、ヒョンデのNシリーズ車のようなリアルなサウンドや物理的な感覚には及ばないとしても、十分に楽しいもの。

重要なのは、これがはるかに重要な「何か」の第一歩であるように見える点だ。

レクサスの『LFAコンセプト』には疑似変速が搭載されており、量産モデルには、V10エンジンを搭載した伝説的な先代モデル(LFA)の影から抜け出すために、こうした驚きと喜びをもたらす機能が必要になるだろう。

クルマ好きが起こした小さな革命

実際、過去の素晴らしさを認めることこそが、こうした技術が愛されるための鍵であるように思える。

ヒョンデのアイヒラー氏の話に戻ろう。

ヒョンデ・アイオニック5 N
ヒョンデ・アイオニック5 N

「わたしは昔から内燃機関が大好きで、今でもガレージにアルピナB3 Sを置いています。ヒョンデに入社する前は、これを日常の足として使っていました。雪が降ると、山へ出かけてドライブを楽しんでいますよ」

N eシフトの開発に携わった1人がそのような趣味を持っているのだから、この技術が高性能EVにもたらした小さな革命にわたし達がこれほど魅了されるのも当然だろう。彼の仲間たちが、この分野をさらに発展させてくれることを期待したい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブン・ドビー

    Stephen Dobie

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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